「世界を実感としてとらえること」を目指す。「さいたま国際芸術祭2023」の新ディレクター・目[mé]が意気込み
来秋の開催を予定している「さいたま国際芸術祭2023」。そのディレクターである現代アートチーム・目[mé]への委嘱状交付式が、4月22日に行われた。
公募により今年3月に選出された「さいたま国際芸術祭2023」のディレクター、現代アートチーム・目[mé]。4月22日、その委嘱状交付式がさいたま市役所市長公室で行われた。
2016年に芹沢高志のディレクションで行われた「さいたまトリエンナーレ2016」を前身とする同芸術祭は、2023年秋に3回目の開催を予定している。いっぽうの目[mé]は、アーティストの荒神明香、ディレクターの南川憲二、インストーラーの増井宏文を中心とする現代アートチーム。「さいたまトリエンナーレ2016」では旧埼玉県立民俗文化センターの屋外を会場に《Elemental Detection》を発表し、また昨年の夏には都内複数の場所で巨大な顔を空に浮かべるプロジェクト「まさゆめ」を行い、大きな話題をさらった。
委嘱状交付式に際してさいたま市長・清水はやとは、目[mé]の2016年の作品について「非常にインパクトのあり私にとっても非常に思い出の深い作品のひとつだ」と振り返りつつ、この芸術祭は「市民が参加する芸術祭」であり、「市民と現代アートの導線になっていただけますよう心からお願いしています」との期待を寄せている。
荒神は、今回のディレクター就任にあたり「大変光栄に思うと同時に責任も感じています」としながら、次のように意気込む。「メンバー皆の知識や経験を最大限に取り絞って、市民参加型の国際芸術祭としてこの世界を自分たちがいかに実感としてとらえることができるかということを、参加した人々の他人事ではなく、自分に引き寄せるような国際芸術祭にしていきたい」。
次回の芸術祭のコンセプトはまだ決まっていないが、目[mé]がアーティストとして作品を出品する予定がないことを、南川は交付式後に行われた囲み取材で明かした。
さいたまに拠点を構えて10年以上経過している目[mé]にとって、その作品のほとんどはさいたまの景色のなかで構想して生まれており、さいたまの持っている客観性やそこに宿っている感性を今回の芸術祭のなかでいかに表すかということを試行錯誤しているという。
さいたまの地に深く関わっており、これまでの作品において世界をいかに「見る」ことができるのかということに取り組んできた目[mé]。そのディレクションのもと、2023年のさいたま国際芸術祭ではどのようなプログラムが生まれるのか、期待したい。