ポーラ美術館の館長が交代へ。新館長にホテル業界から野口弘子が就任
箱根のポーラ美術館は、2023年7月1日付で現館長・木島俊介が退任し、新館長にホテル業界における女性総支配人の先駆者的存在である野口弘子が就任することを発表した。
箱根のポーラ美術館が、2023年7月1日付で現館長・木島俊介が退任し、新館長に野口弘子が就任することを発表した。
木島は、2014年7月以来9年間にわたりポーラ美術館館長を務め、新たな作品収集活動や「ピカソとシャガール」展、「モネとマティス」展などの展覧会企画に関わってきた。木島の任を引き継ぐ野口弘子は美術業界ではなくホテル業界で実績を重ねてきた人物で、日本の美術館では珍しい人事だ。
野口は2002年より「パーク ハイアット 東京」のマーケティング・コミュニケーションズ部長、セールス&マーケティング支配人を務め、06年には「ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ」総支配人に就任。日本人女性として初めての国際的ラグジュアリーホテルのトップとなり、開業準備から11年間指揮を執ってきた。17年には「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」の総支配人に就任。20年より箱根に拠点を戻し、ホテル運営、開発、経営などのコンサルティングやコーチングに従事。また、ホテル総支配人育成プログラム「GM GYM」で将来を背負う人材育成に携わっている。
ポーラ美術館はこの人事について、「国際的な感覚をもったリーダーシップのもと、箱根の地域との結びつきの強化や『おもてなし』の抜本的な見直しによる体験価値の向上に手腕を発揮することを期待し、新館長への就任決定の運びとなりました」としている。
国際的な人の往来が回復し、箱根には多くの人が押し寄せている。そんななか、ポーラ美術館は野口率いる新体制のもと、2032年ビジョンとして掲げる「心をゆさぶる美術館」の実現に向けて、「地域に開かれた美術館」として新たなステージへと向かいたい考えだ。
野口は就任にあたり、「箱根の地域コミュニティとの繋がりをさらに強めていくこと」「美術館の活動全般において『ホスピタリティ』を強く意識していくこと」「体験価値を最大化すること」の3つを指針として挙げており、「これまで歴代の館長が築いてきたものを継承し、これをさらに発展させていきたい」と意気込みを見せている。