2022年、サザビーズが約1兆800億円の総売上高を記録。創業278年で過去最高
2022年、サザビーズが80億ドル(約1兆800億円)と見込む総売上高を記録した。アジア市場の急成長を受け、23年から24年にかけて上海と香港に新しい拠点をオープンする予定だ。
サザビーズが2022年の総売上高を発表。総額80億ドル(約1兆800億円)の見込みで、創業278年以来、過去最高の数字を記録した。
そのうち、ファインアートとラグジュアリーのオークション売上高は約64億ドル(約8700億円)。プライベートセールの売上高は3年連続で11億ドル(約1500億円)を超える見込みだ。
地域別で見ると、アジアにおけるオークション売上高は11億ドルに達し、同社の2021年の過去最高記録に並ぶ数字となる。ヨーロッパのオークション売上高は23億ドルで、2015年以来の最高額となった。そのうちイギリスの売上高は14億ドルとなり、2018年以来最高の数字。フランスとイタリアも、それぞれ過去最高と過去10年で2番目に高い数字を記録した。
とくにアジアの顧客基盤は急速に拡大しており、入札者数は過去最高を記録。同社のセールではアジアの40代以下の入札者数が前年に比べて3倍に増加しており、またアジアのコレクターは、ほかの地域のコレクターに比べて一人当たりの入札額も平均で40パーセント上回っている。
同社のアジアにおけるセールでは、3分の1が新規入札者。世界中のセールでは、新規入札者の約7割がアジアからの入札者だったという。また、今年アジアで行われたオークションのトップ10ロットのうち、8ロットがサザビーズのセールで落札されたものだ。
アジア市場の急成長を受け、サザビーズは2024年、香港に約2200平米の新拠点をオープンすることを発表。来年上海にオープン予定の新施設や、今年東京に開設した新しいオフィスとともに、顧客に継続的にコミットすることを目指している。また来年、アジアで50周年を迎えるサザビーズは、アジア各地で一連の特別な展覧会やイベント、オークションを開催予定となっている。
オークション売上高をジャンル別で見ると、57億ドルと推定されるファインアートのオークション売上高のなかでは、印象派と近代美術のオークション総額が12億ドルとなり、2015年以来最高の数字を記録。現代美術のオークション総額は18億ドルで、2021年に次いで2番目の数字となった。
ファインアートオークション総額のうち、約8億ドルはシングルオーナーコレクションによるもの。デイビット・ソリンガー、ジョゼフ・ホトゥン、マックロー・コレクションといった、それぞれ1億ドルを超えた3つのコレクションのほか、オテル・ランベールのコレクションは総額7660万ユーロで落札され、フランス装飾美術のオークションの世界記録を更新。また、ロナルド・ペレルマンとドロテ・ラランヌ・コレクションの第2部も、それぞれ3500万ドルと4750万ドルで落札された。
また、同社のセールにおいて100万ドル以上で落札された女性アーティストの作品数は、2019年以降70パーセント以上増加しており、女性アーティストの作品に対する需要が高まっている。今年は、同社の主要なセールで120以上のアーティストも自身のオークションレコードを更新した。
サザビーズCEOであるチャールズ・スチュワートは声明文で、今年は「カテゴリーを問わず優良な名品に対する需要が高まりつつある」と振り返りつつ、「比類なき専門性に支えられた、厳選された優れた美術品やラグジュアリーを市場に送り出すことが、私たちのビジネスの鍵なのだ」とコメントしている。