105年の軌跡。美術家、篠田桃紅の美意識を探る初の出版記念展が開催
戦後のニューヨークで墨を用いた作品を発表し、世界的な評価を得てきた篠田桃紅(とうこう)。2017年に発行された自著『桃紅一〇五歳 好きなものと生きる』(世界文化社)の出版記念展が大阪・阪急うめだ本店 9階 阪急うめだギャラリーにて開催される。会期は2018年4月4日〜9日。
篠田桃紅(とうこう)は1913年生まれ。幼少期より書に親しみ、56年に単身で渡米した後、ニューヨークの『ベティ・パーソンズ・ギャラリー』で二十数年にわたり墨を用いた斬新な作品を発表。「水墨の抽象画=墨象」として高い評価を得た。
篠田の作品は故ジョン・ロックフェラー三世夫妻をはじめ、国内外の美術愛好家たちを魅了。岐阜現代美術館、グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、大英博物館(ロンドン)、ボストン美術館(ボストン)、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)など世界各地の美術館のほか、京都迎賓館、皇居御食堂、在アメリカ合衆国日本国大使館公邸(ワシントンD.C.)、在フランス日本国大使館(パリ)、ロックフェラー財団(ニューヨーク)といった公共施設に所蔵されている。
2017年には、墨の抽象表現という分野を切り拓いてきた篠田の仕事場の様子や、美意識が宿る暮らし、高い審美眼で選りすぐられたものを紹介する著書『桃紅一〇五歳 好きなものと生きる』(世界文化社)を刊行。初の出版記念写真展となる本展では、50点以上の写真で篠田の世界を再現すると同時に、一点一点手彩を施したリトグラフなどの作品を展示・販売する。