2019.1.16

いよいよ卒展シーズン。2019年注目の美大卒展をピックアップ

1月から3月にかけては各美大・芸大・専門学校の卒業制作展(卒展)シーズン。そこでここでは、数多ある卒展のなかからとくに注目したい6校をピックアップ。その特徴とともに紹介する。

卒業制作展展示風景
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 毎年2〜3月に日本各地で行われる美術大学や芸術大学、専門学校の卒業制作展(以下卒展)。学生の集大成でもある卒展は、各校にとって重要な行事のひとつだ。それぞれの個性が反映された卒展のなかから、ここではとくに注目したい6校をピックアップ。その特徴や見どころとともに紹介する。

武蔵野美術大学

 武蔵野美術大学の「卒業・修了作品展」は、前身の帝国美術学校時代より続く伝統的な展覧会行事だ。キャンパス全体をギャラリーとし、日本画、油絵、立体から各デザイン領域、建築、アニメーション、映画、インスタレーションなど、その作品点数は1200を越える。

 体育館アリーナでのテキスタイルや、屋外での立体作品、美術館内など、様々な環境を生かしての展示も見どころのひとつ。

 例年、学生や保護者だけではなく、アート・デザイン界や企業関係者、受験生など多くの人々が来場。4日間で約1万5000人が訪れるなど、毎年好評を博している卒展に足を運んでみてほしい。

会期:2019年1月17日~20日 9:00~17:00
会場:武蔵野美術大学鷹の台キャンパス
住所:東京都小平市小川町1-736

2018年の武蔵野美術大学卒業制作展展示風景

多摩美術大学

2018年の環境デザイン学科学外展展示風景

 世田谷区・上野毛と八王子にキャンパスを持つ多摩美術大学では、1月18日〜27日の期間、上野毛キャンパスで総合デザイン学科や演劇舞踊デザイン学科の卒業制作展や卒業公演を行う(各学科の会期はリンク先を参照)。また3月21日〜23日の3日間、八王子キャンパスで美術学部卒業制作展と大学院博士前期課程修了制作展が開催されるが、このほかにも数多くの学外展示が行われるのが特徴だ。

 同校では、学科ごとあるいは個人・グループによる展示が都内、神奈川などキャンパス外のアートスペース各所で開催。そのほとんどが学生の自主的な企画によるもので、昨年度は30以上の展覧会が行われた。たんなる展示にとどまらず、学生自らが著名クリエイターを招いて行う公開講評会、業界の未来を語るトークショーなどを企画する展覧会も多く、一般の来場者を意識した展示をしている。数あるなかから気になる展示を見つけるのも楽しみのひとつ。

会期:2019年1月18日〜27日(上野毛キャンパス、会期は学科によって異なる)、3月21日〜23日(八王子キャンパス) 10:00~18:00
会場:多摩美術大学八王子キャンパス、上野毛キャンパス
住所:東京都八王子市鑓水2-1723(八王子キャンパス)、東京都世田谷区上野毛3-15-34(世田谷キャンパス)

2018年のグラフィックデザイン学科学外展展示風景

文化ファッション大学院大学

第10回文化ファッション大学院大学ファッションウィークの様子

 2006年に開学した文化ファッション大学院大学。ここでは、1月28日~2月1日に「第11回文化ファッション大学院大学ファッションウィーク(BFGU FW)」が開催される。

 今年のテーマは「It’s NEW」。会期中には、ジェームズ・ピータース(アマゾンジャパン合同会社バイスプレジデントファッション事業部門統括事業本部長)、天沼聰(株式会社エアークローゼット 代表取締役社長兼CEO)、河野秀和(シタテル株式会社代表取締役CEO)を迎えたシンポジウムや、院生によるファッションショー、展示、研究発表などが行われる。

 なお、1月29日の「シンポジウム」「ファッションショー」「修了研究発表」は事前申込制。詳細は公式サイトをチェックしてほしい。

会期:2019年1月28日~2月1日
会場:文化ファッション大学院大学
住所:東京都渋谷区代々木3-22-1

文化学園大学

第48回卒業研究展の様子

 文化学園大学の造形学部(デザイン・造形学科、建築・インテリア学科)が行う「第49回卒業研究展」。同学部は表面的なテクニックだけでなくデザインの本質を理解することを重視したカリキュラムが特徴だ。幅広い分野でデザインの重要性が増している今日、様々な社会的課題に対応できるクリエイティブな発想力を育成している。

 本展では、デザインの力で社会問題に関わっていくことを試みた、「生活を豊かにするデザイン・モノ」という視点で取り組んだ研究(作品・論文)を4日間にわたり一般公開する。なお、9日には進学相談会も開催される。

会期:2019年2月7日~10日
会場:文化学園大学
住所:東京都渋谷区代々木3-22-1

愛知県立芸術大学

2018年の陶磁専攻の卒業制作展展示風景

 愛知県立芸術大学では、美術学部・大学院美術研究科を卒業・修了する日本画、油画、彫刻、芸術学、デザイン、陶磁の6専攻・領域の学生による作品・論文が一堂に展示される。

 今年から「木木木(もり)の卒展」として、卒業生・修了生にとって思い入れのある自然豊かな森のキャンパスを活用し、自由に作品を設置。吉村順三建築の美しい採光の中で、工夫を凝らした展示を楽しみたい。

 会期中には関連企画として、版画研究室研究発表展「INDIRECT’19」、2月24日には、レクチャーコンサート「学生と教員による室内楽の午後」も開催される。

会期:2019年2月24日〜3月3日 10:00〜17:00
会場:愛知県立芸術大学
住所:愛知県長久手市岩作三ケ峯1-114

2018年の油画専攻卒業制作展展示風景

渋谷ファッション&アート専門学校

版画工房の風景

 「大人の美術学校」は渋谷ファッション&アート専門学校の文化専門課程。単年度制で絵画(油絵)・日本画・彫刻・版画が学べ、年齢や経験に関係なく、学習度に応じて次のステップに進めるのが特徴だ。

 その1年の学びのまとめとして、毎年度の終わりに修了制作が行われている。今年度の修了制作展は3月8日~10日の3日間、学内で開催。この3日間は、「大人の美術学校」の学生の作品だけでなく、講師の作品も展示。また公開講評によって普段の授業の一端も見ることができる。

 なお、2月21日~26日の間、東京都美術館で開催されるSEBIT2019(東京都内のアート&デザインの専門学校が合同で開催する展覧会)にも同校学生の作品が展示される。

会期:2019年3月8日~10日 10:00〜17:00
会場:渋谷ファッション&アート専門学校
住所:東京都渋谷区渋谷1-21-7

絵画コースの授業風景