上海で注目のアートフェア「ウェストバンド・アート&デザイン」が開幕。そのハイライトをチェック(前編)
中国本土最大級のアートフェアである「ウェストバンド・アート&デザイン」。その第6回目が、11月7日に開幕した。18ヶ国から108のギャラリーが参加する今回のフェアのハイライトを前後編で振り返る。
2018年に会場を拡大し、2つの巨大なホールを使用する「ダブルホール」形式で行われた中国本土最大級のアートフェア「ウェストバンド・アート&デザイン」。その第6回が、11月7日より上海のウェストバンド・アートセンターでスタートした。
今年のフェアには、18ヶ国から108ギャラリーが参加。昨年の実績である115ギャラリーより少ない数字となっているが、今年は一つひとつのブース規模が拡大しているように見える。会場は大きく分けてホールAとホールNのふたつ。前編ではまずホールAをピックアップする。
エントランスを抜けてまず目に飛び込んでくるのが、オオタファインアーツのブースだ。ここでは、中国人の注目若手アーティスト、チェン・ランが設立したオルタナティブ・スペースである「MARTIN GOYA BUSINESS」の展覧会をメインに構成。多くのメガ・ギャラリーが西洋の現代美術をアピールするのとは対象的に、中国アートシーンをしっかりと見せていこうという姿勢が印象的だ。
世界で7つのスペースを運営するメガ・ギャラリーの筆頭・ハウザー&ワースは、今年生誕100周年となるオーストリアのアーティスト、マリア・ラスニック(1919〜2014)の個展を開催。1987年から2009年までに制作された異なるテーマのペインティングを並べ、ラスニックの視座を紹介する。
東京にもスペースを持つパリのペロタンは、スウェーデンのアーティスト、イェンス・ファングを個展形式で紹介。コラージュの技法を使って、ひとつのフレームの中に物語性を与えるファングの作品群。それぞれの作品には個別のストーリーがあるように見えるが、その解釈は鑑賞者に任されているという。作品に使用されている素材は、スウェーデンの伝統的なベッドに使われるもの。人物の顔は、ルネサンス時期の絵画からインスピレーションを受けている。本展のために制作されたブースの壁紙にも注目だ。
北京と深圳に拠点を置くHive Center for Contemporary Art(北京、深圳)は、ポスト80'sと称される世代に属する若手ペインター、レン・ガンミンの個展を開催。ガンミンが得意とする赤と緑の2色で構成された絵画が、赤いブースに静かに並ぶ様は圧巻だ。ホールAではもっとも優れたプレゼンテーションのひとつと言えるだろう。
このホールでは、サザビーズによるギャラリー「S|2ギャラリー」が特別展「LEGENDS: WARHOL / BASQUIAT」を開催。日本でも回顧展が開催され大きな注目を集めるジャン=ミシェル・バスキアと、バスキアにとってのスターであり共作なども手がけたアンディ・ウォーホルの2人展だ。ミュージアムクラスのバスキアの《Loin》(1982)をはじめ、複数の作品が大きな注目を集めていた。