2025.2.25

『ジャングル・ブック』を世界的振付家、アクラム・カーンが再解釈。彩の国さいたま芸術劇場と愛知県芸術劇場で6月に上演

世界的振付家のアクラム・カーンが、『ジャングル・ブック』をダンスとアニメーションで新たに解釈し未来を問う。本作が、彩の国さいたま芸術劇場と愛知県芸術劇場で6月に上演される。

Photo by Camilla Greenwell
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 アクラム・カーンが、ジョセフ・ラドヤード・キプリングによる名作『ジャングル・ブック』を新たに解釈。本作が6月20日~22日に彩の国さいたま芸術劇場で、6月28日に愛知県芸術劇場で上演される。 日本での公演は同作品の世界ファイナル・ツアー。

Photo by Camilla Greenwell
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 アクラム・カーンはロンドン生まれのバングラデシュ系イギリス人。コンテンポラリー・ダンスと北インドの古典舞踊「カタック」を融合させ、異文化を越境する表現活動を精力的に行ってきた。2012年夏のロンドン・オリンピックでは開会式の一場面を振付・出演し、大観衆より絶賛されたことでも知られている。ローレンス・オリヴィエ賞、ベッシー賞、ISPA(国際舞台芸術協会)特別芸術家賞、サウスバンク・スカイ・アーツ賞、批評家協会によるナショナル・ダンス賞など受賞多数。現在、サドラーズ・ウェルズ劇場やマウントビュー・アカデミー・オブ・シアター・アーツ、カーヴシアターのアソシエイト・アーティストを務めている。

 舞台は、気候変動により海が陸地を覆いつくし、人々が生き延びるため次々と祖国を去ってゆく未来の地球。不穏な同盟を結びながら、動物たちが縄張りを張る荒れ果てた街にたどり着いたのは家族と引き裂かれたひとりの子供だった。「モーグリ」と名付けられ、動物たちと暮らす少女は、ジャングルと化した世界で何を見つめ、どのような決断を下すのか。

Photo by Camilla Greenwell
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 主人公であるモーグリを10歳で演じたこともある(ピーター・ブルック『モーグリの冒険』)というカーンは再び物語と対峙し、独自の解釈で舞台化。言葉から紡がれる豊かなダンス、舞台に命を吹き込むアニメーション、雄弁な音楽に誘われ、人と動物、そして自然といった、地球に生きるすべてのものたちが声を上げる。不確かな時代に生きる我々が、未来にどのようなバトンを渡すことができるのか、考えることができる作品となっている。

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 私たちは今、これまでにない未曽有の不確かな時代を生きています。私たちの種族だけでなく、この惑星のすべての種族にとって。このジレンマの根本的な原因は、私たちが私たちの家、つまりこの惑星とのつながりを忘れてしまったからです。私たちは皆、ここに住み、ここから吸収し、ここに生活を築いています。でも、それに敬意を返すことを忘れてしまいました。より明るい未来のためには、草の根から変化を起こさなければならないと信じています。そのため、私は『ジャングル・ブック』として愛されている物語を、すべての文化の子供たちや大人たちと共有する使命を感じています。私たちの種族が忘れてしまったことを、再び学ぶために。そして、私はこの物語を伝え、最も力強く心に到達できる方法は、ダンス、音楽、そして劇場の魔法を通じてであると信じています。 
──アクラム・カーン