約30点の若冲作品が初公開。福田美術館で「若冲誕生〜葛藤の向こうがわ」開幕
2019年10月、京都・嵐山に開館した福田美術館。ここで3月28日より「若冲誕生~葛藤の向こうがわ~」展が開催。本展では、新たに発見された若冲最初期の彩色画《蕪に双鶏図》など初公開作品が多数展示される。(5月20日追記:5月23日より再開)
2016年に生誕400年を迎えて以降、ますますその人気が高まる伊藤若冲(1716~1800)。その初公開作品が約30点も並ぶ展覧会「若冲誕生~葛藤の向こうがわ~」展が、京都・嵐山の福田美術館で開催される。会期は2020年3月28日~6月21日(*)。
福田美術館は、19年10月に誕生した新しい美術館。琳派から円山四条派、京都画壇の作品を中心としたコレクションが特徴だ。「若冲誕生~葛藤の向こうがわ~」は、同館コレクションにも含まれる伊藤若冲の初期作を含む約50点を展示するもの。
そんな本展でもっとも注目すべきなのは、新たに発見された伊藤若冲最初期の彩色画《蕪に双鶏図》だ。現在知られる若冲作品のなかでは、若冲が「景和」と名乗っていた時期に制作された《雪中雄鶏図》(細見美術館蔵)が最初期のものとされていた。
しかし《蕪に双鶏図》は、それ以前の30代初めに制作された可能性がある作品。画題は、蕪畑のなかに描かれた番(つがい)の鶏。技法的には未熟なところがあるものの、羽毛の一本一本まで細密に描かれており、若冲らしさが見て取れる。
このほか、若冲の初公開作品が目白押しの本展。なかには、現在唯一確認されている若冲の手紙《六月四日付藤幸之助充宛て書簡》といった資料も含まれている。
加えて、曾我蕭白、円山応挙など若冲と同時代の画家たちの作品も展示。若冲に影響を与えた禅僧や画家たちを取り上げることで、18世紀京都画壇の世界に迫る。
*──新型コロナウイルスの影響で会期変更。新たな会期は前期:3月28日~6月29日(5月23日再開)、後期:7月1日~7月26日(※一部作品については途中で入替える可能性あり)