小池藍が語る「TERRADA ART STORAGE」の魅力。美術品を次世代に伝える保管サービスはいかにあるべきか
寺田倉庫が提供する「TERRADA ART STORAGE」は、部屋タイプの美術品保管サービス「部屋保管プラン」と、作品1点からオンラインで預け入れが行える「作品単位保管プラン」および、寺田倉庫に預けていなくても美術品の作品登録/一元管理ができる「コレクション管理ツール」で構成される。投資家でありアートコレクターでもある小池藍が、同社の天王洲にある美術品倉庫を見学しつつ、サービスの感想を語った。(PR)
小池藍が見た「TERRADA ART STORAGE」
──今回はお話を伺う前に小池さんには天王洲の寺田倉庫にある「TERRADA ART STORAGE 天王洲 PREMIUM」の保管施設を見ていただきました。アートコレクターとしても知られる小池さんですが、いちコレクターの目線としてどのような感想を持たれましたか?
こんなに広く、そしてきれいなんだ、というのが素直な感想です。一般的な倉庫のイメージとは大きく異なるので本当にびっくりしました。廊下はホテルのように素敵だし、保管環境や内装も整っています。
大型の立体作品を所有しているアートコレクターももちろんいますが、多くのコレクターは部屋に飾れるくらいの大きさの平面作品を中心に集めているのではないでしょうか。今回見せていただいた2坪ほどのウォークインタイプの部屋であれば、気軽に訪れて作品の入れ替えをできるのでとても良いと思います。
また、天王洲の倉庫なら周辺にある「WHAT CAFE」(*1)や「WHAT MUSEUM」(*2)、「TERRADA ART COMPLEX」(*3)といった寺田倉庫のアート施設にアクセスしやすい立地もいいですよね。作品を出し入れするついでに、それらの施設を訪れてアートとの新たな出会いの機会を得ることもできます。ほかにも平和島と横浜羽沢に倉庫があるので各コレクターにとって利便性の高い場所を選べることも魅力ですね。
──アートコレクターの方々は、収蔵庫からの作品の出し入れを頻繁にするものなのでしょうか。
私自身は頻繁に行いますね。人によるとは思いますが、私は家に飾る作品も頻繁に入れ替えますし、自社のオフィスや知人に作品を貸し出したりもします。だから、気軽に訪れることができる立地や、気分を高めてくれる雰囲気はとても大事です。その点でもここ天王洲は最適ですよね。
あと、もうひとつ、すごく良いと思ったのが自分で運べないような作品を、アートハンドラーが運んでくれるサービスも用意されていることですね。やはり大型の作品を出し入れするのは、それだけで億劫になってしまうものですが、アートハンドラーがいれば心理的にも物理的にも、そのハードルが大きく下がります。
──寺田倉庫では部屋保管プランのほかに、会員登録をすると無料で作品情報の登録と一元管理がPCやスマートフォンからできるコレクション管理ツールや、1作品440円から保管することができる作品単位保管プランも提供しています。こうしたサービスはアートコレクターにとっては魅力的なのではないでしょうか?
コレクションの初期から保管スペースをひと部屋借りる必要はないと思うので、自分の持っている作品数にあわせて、サービスを選べるのはとても良いと思います。点数が増えてきたら、ウォークインタイプに引っ越すことも可能ですし。まずは作品を購入した人に、作品を適切な環境で保管するという体験をしてもらえる、非常に良いサービスだと思います。
また、購入した作品の記録管理もアートコレクターにとって課題のひとつです。私自身、梱包されたまま保管していると、中の作品が何かわからなくなることも多いです。またギャラリーでの展覧会で作品を購入した後、そのまま倉庫に配送することも少なくありません。だから、作品名や制作年、サイズといった記録をしていないことも多々あるのですが、オンラインでこうした情報を一括で管理できるのは魅力的ですね。
──誰もがスマートフォンなどから気軽にアクセスすることができるオンライン環境が提供されていることは魅力的ですね。
アートは物理的な「もの」を扱うので、基本的にアナログですよね。単純にデジタル化するわけにはいかない部分が多く、業界的にも課題だと思います。でも寺田倉庫のサービスは、オンラインで一貫して作品登録から保管までができるなど、ソフト面で可能な限りのデジタル化を進めていることが革新的だと思います。アートコレクターの人たちは、普段から生活のなかで様々なデジタルツールを使いこなしていますし、忙しい人が多いので、アートも時間を有効に使いながらコレクションをするとなると、なおさらソフト面の充実はありがたいです。
──寺田倉庫ではアートマーケットを広げるために、輸送サービスや展示のサポートも行っています。美術品を保管することがゴールではなく、その作品をどう活用するかまで見据えてサービスが考えられています。
自分のコレクションをどのように活かすか考えることも、これからのアートコレクターにとっては意識しなければいけない課題だと思うので、それは素晴らしい試みですね。大型の作品などは、所有していても移動が大変です。トップコレクターには専属のチームがついていて移動や設置を都度お願いすることができますが、いま増えている中間層のコレクターはそこまでの体制を持っていない。だから、運搬面でもそういう人たちをサポートしてくれるサービスがあるとありがたいです。
──多くのスタートアップに投資をしてきた小池さんですが、「TERRADA ART STORAGE」をはじめとした寺田倉庫のサービスを投資家としての視点で見た感想を教えてください。
投資家としての立場から、これまでも色々なアート系の事業の実現可能性を考えてきました。寺田倉庫がやっているような保管サービスについてもビジネスの可能性を考えたことがありましたが、どうやっても事業として採算があわず、実現するのは難しいという結論にいたりました。やはり、良い立地に土地を所有している寺田倉庫が、色々なタイプの美術品倉庫やアートハンドラー、ビューイングルーム、保税倉庫などを総合的に横展開することで、はじめて成り立つビジネスなんですよ。場所と多面的なサービスがあるからこそできることなんだと思います。ハード面だけでなく、内装にいたるまでユーザーの目線にたって検討し、サービスの設計を行っていることが素晴らしいですね。
アートコレクターの使命を支える寺田倉庫のストレージサービス
──いま、日本のマーケットでは若いコレクターが増えていますが、新興コレクターたちにとっての課題とはどんなものなのでしょうか?ご自身のコレクターとしての立場も含めて教えてください。
アートを買いたい人が増えているのは良いことなのですが、何点か作品を購入すると、多くの人が「今後、どのようにコレクションを増やしていったら良いか?」という課題にぶつかると思います。最初はテーマを決めて自分のコレクションをキュレーションすることはなかなか難しいですよね。私のまわりのコレクターからも「作品点数は増えたけど、この先どのようにコレクションをしていけばいいのだろう?」という相談を受けますし、私自身も悩むことが多いです。
でも、例えば「TERRADA ART STORAGE」のコレクション管理ツールに自分の作品を写真とともに登録していけば、自分のコレクションがスマートフォン上で見られますよね。自分が何を持っているのか一目瞭然ですから、その情報をプロのアドバイザーや著名なコレクターに見せることで、今後のコレクションについてのアドバイスがもらえるかもしれません。
また、自分の持っている作品が展覧会に出ることで、作品の価値を広く世に問うこともコレクターの醍醐味のひとつです。美術館に自分がどのようなコレクションを持っているのかを伝える手伝いを寺田倉庫がやってくれるのは素晴らしいことですね。
──アートコレクターにとっては、自らのコレクションをどのように育てていくのかというのも大切な視点なのですね。
アートはたんなる商品ではなく、「所有権を預かるもの」という考え方を持つほうが正しいんだと思います。「自分が所有者である期間は歴史の中で自分が作品を預かっている」という認識で保有するものだと私は考えています。有名作家の作品であってもなくても、自分がいなくなった後もバトンリレーのように次の世代に渡っていくことまで意識するべきです。自分の都合だけで作品を扱ってはいけないということは、すべてのアートコレクターに理解してもらいたいことですよね。むやみに手を触れない、箱を捨てない、保管環境や飾り方などを整える。だからこそ、寺田倉庫のようなプロフェッショナルによるサービスが求められるのだと思います。保管に適した温度や湿度で美術品を管理してくれて、安心できるセキュリティ環境がある専門の倉庫の存在はとても大きいはずです。
──小池さんは作品を買うとき、どのような判断基準で購入するのか教えてください
いちばんは「ほかの人に買われたくない」ということでしょうか。とはいえ、ほしいものを全部は買えないのですが。コレクションをするというのは、あのとき買っておけばよかったという後悔の連続だったりします。だからやめられないのですが(笑)。
──最後に、小池さんが考えるアートの楽しみと魅力を教えていただければと思います。
私は現代美術を中心にコレクションしています。現代美術は、作家の想いやコンセプトがかたちになったものですよね。そこがいちばんの魅力ではないでしょうか。
仕事柄、私はベンチャー企業への投資をしています。ベンチャーは創業者の想いを事業で表現するものですが、いっぽうでその想いやコンセプトはチーム制なのでどうしてもぼやけることがあります。でも、アートは個人ないしは少数がつくりあげるものなので、作品に込められた想いやコンセプトが尖っています。その先鋭に触れることはとても刺激になるし、何より元気になれる。そういった存在に日々囲まれているのは幸せなことです。だから、私は知り合いのベンチャー企業にも自分の持っている作品を貸し出したりして、その思考や魅力を伝えるようにしているんです。
たんに作品をコレクションするだけでなく、その作品を通してビジネスにもプラベートにも活力をもらえる。私にとってアートはかけがえのない存在ですね。
*1──アート業界の未来を担う若手アーティストの支援を目的としたカフェ。800平米の空間で食事や飲み物を楽しみながら、アーティストの作品を鑑賞・購入することが可能となっている。
*2──寺田倉庫が作家やコレクターから預かっているアート作品を公開する芸術文化発信施設として2020年12月にオープンしたミュージアム。「倉庫を開放、普段見られないアートを覗き見する」というコンセプトをもとに、作家の思いや作品を収集するコレクターのこだわりを作品とともに展示し、アートとの出会いの場を創出することを目指している。
*3──レンタルアトリエスペース、ギャラリースペース、カフェなど、アート事業のコンテンツが集まった天王洲のアート複合施設。