ジャネット・カーディフ＆ジョージ・ビュレス・ミラー

　ジャネット・カーディフは1957年、ジョージ・ビュレス・ミラーは60年生まれ、ともにカナダ出身。90年代半ばより共同制作を開始し、現在も同地を拠点に活動している。鑑賞者が小型モニターの映像を見ながら、ヘッドフォンの音声の指示を受けて図書館や美術館内を移動する「ウォーク」シリーズや、礼拝堂を舞台に40個のスピーカーから合唱曲の各パートが流れるインスタレーション《40声のモテット》（2001）など、映像を「見る」、音楽を「聞く」といった複合的な知覚経験を伴う作品を発表してきた。2001年の第49回ヴェネチア・ビエンナーレではカナダ館代表として出展。《パラダイス・インスティテュート》で特別賞を受賞した。

　このほかドクメンタ13（2012）、横浜トリエンナーレ2005、あいちトリエンナーレ2013などの国際展に参加。09年に銀座メゾンエルメス フォーラムで個展、17年に金沢21世紀美術館でアジア初の大規模個展を開催。金沢21世紀美術館では、ルネサンスの画家アントネロ・ダ・メッシーナの絵画《書斎の聖ヒエロニムス》に描かれた空間を建築模型で再構築し、その創作過程を理解しようと試みた《アントネロとの対話》（2015）、1台の古いキャンピングトレーラーの中で、眠る女性と、その女性の夢を演じるマリオネットや動物たちの不思議な入れ子の世界を見せる《マリオネット・メーカー》（2014）、キリンやウマなどの木製の動物が、口に付けられたスピーカーから奇妙な音を上げながら回転するメリーゴーランド《ザ・カーニー》（2010）などが展示された。国内ではベネッセアートサイト直島にて常設作品《ストーム・ハウス》（2010）、《Dreaming Naoshima》（2016）を見ることができる。