EXHIBITIONS

高尾俊介「Tiny Sketches」

NEORT++
2022.05.13 - 06.12

高尾俊介「Tiny Sketches」より

高尾俊介「Tiny Sketches」より

高尾俊介「Tiny Sketches」より

高尾俊介「Tiny Sketches」より

高尾俊介「Tiny Sketches」より

展示風景より

 今年4月、東京・馬喰町にオープンしたNEORT++で、クリエイティブコーダー・高尾俊介の初個展「Tiny Sketches」が開催されている。

 高尾は1981年生まれ、熊本県出身。2015年1月1日から毎日「スケッチ」と呼ばれる素描のような短いコードを書く活動を開始。19年にTwitterとOpenProcessingを通じて、自作のスケッチの公開をスタートし、この活動を「デイリーコーディング」と呼ぶようになった。

「デイリーコーディング」の当初の主な目的は個人的な鍛錬だったが、 SNSを通じてスケッチへ寄せられるコメントやコードの参照・改変といった交流が言語を越えて日常的に繰り返される過程で、高尾は次第に自らのコードのなかに他者のアイデアや技法が混じり合うコモンズ(共有財)としての性質を見出すようになったという。また高尾は同時に、身の回りの生活や地域や風土に根ざす文化的な慣習を再認識し、ディスプレイのこちら側と向こう側とを、コードと紐付けるような私/詩的なコードによる表現の可能性に着目するようになった。

  2021年8月に発表して世界的な注目を集めたNFTアートプロジェクト「Generativemasks」は、デイリーコーディングの実践と変容におけるひとつの結実だ。発売から2時間あまりで1万個完売するなど話題となった。

 高尾のデイリーコーディングは、機能性や合目的性が期待されるソフトウェア開発や高度なアルゴリズムやコンピュテーション(計算)によって評価されるジェネラティブアートの主流から逸れた、オルタナティブで開かれたコードによる表現の在り方の探求に一貫している。そして現在もなお、高尾とその活動に共感するアーティストたちによって、日々の営みのようにSNS上で継続されている。

 本展「Tiny Sketches」では、約1500を越えて連なるデイリーコーディングのなかから、初期を含む最新作まで240点のスケッチを精選し、高品質なプリント作品として展示。さらにデイリーコーディングから派生したNFTアートを発表し、本展にあわせて制作された新作4点(各60エディション)からなるNFTを販売する。

 会場の 「NEORT++」はデジタルアートプラットフォーム・NEORTのフィジカルギャラリーであり、デジタルアート専門の展示スペース。NEORTは、デジタルテクノロジーを駆使した新しいアートのためのオンラインプラットフォーム「NEORT」の開発・運営を行っている。