EXHIBITIONS

立花文穂展 印象 IT'S ONLY A PAPER MOON

立花文穂 へのへのもじへ 2014

立花文穂 木のなかに森がみえる 2007

球体9『機会 OPPORTUNITIES』 2021

 立花文穂(たちばな・ふみお)は文字や紙、本を素材・テーマに制作を行うアーティスト。その美術館初個展「立花文穂展 印象 IT'S ONLY A PAPER MOON」が、水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催される。

 立花は1968年広島市生まれ。製本業を営む家で育ち、幼少期より身近にあった紙や印刷物、文字などから着想を得て、「よせ集める」「つなぎ合わせる」という行為を通じ、新たなかたちをつくり出した。95年、佐賀町エキジビット・スペースでの個展「MADE IN U.S.A.」でデビューして以降、国内外で作品を発表している。

 2000年に入り、立花は活版による印刷物や大判カメラで撮影した写真、さらにブロンズによる彫刻など「文字」を基軸にした表現を探求。また葉書からポスターまで、多種多様な印刷物や本といったグラフィックデザインで高い評価を得るなど、分野を横断し活動してきた。07年から責任編集とデザインを自ら担当、発信する媒体として刊行している『球体』もそのひとつだ。

 自身の表現の原点には、「紙に触れること」「文字を書くこと」があるという立花。それらは、実父が営んできた製本所の存在、子供の頃から親しんだ「書」、そして故郷・広島の歴史と記憶へとつながっていく。近年、立花は、筆を持ち「書」のような作品へと回帰している。

 本展では、今回の展示のために制作される新作とともに、立花の四半世紀にわたる創作を総体的に紹介。「印象(IMPRINT/IMPRESS)」というタイトルのもと、印刷/印字と象形(かたどる/かたちづくる)という立花の創作の思想・思考に深くふれる場となる。