EXHIBITIONS

渡辺志桜里 個展「久地良」

2022.08.20 - 09.11

sweet doughnut S.Y.P-Artists run space in Tokyo- 2018

sweet doughnut S.Y.P-Artists run space in Tokyo- 2018

RELABEL神泉 #4cases#HumanTrajectory#Anthropocene 2020

RELABEL神泉 #4cases#HumanTrajectory#Anthropocene 2020

ノンヒューマンコントロール TAV GALLERY 2020

Dyadic Stem The 5th Floor 東京 2020

ghost 東京(四ツ木)※作家保有スタジオ内2021

 歌舞伎町のデカメロンでは、渡辺志桜里による個展「久地良」を開催する。本展キュレーターは風間美希[TOKYO culture research*]。

 渡辺は1984年東京都生まれ。2015年に東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業後、17年に同大学大学院を修了。Chim↑Pom・卯城竜太キュレーションによる個展「べべ」(WHITEHOUSE、東京、2021)をはじめ、都内で開催された芸術祭「水の波紋展2021」にも参加。SYP GALLERYでは前身にあたるS.Y.P-Artists run space in Tokyo-にて個展「sweet doughnut」を開催した。

 これまで生態系そのものを展示する手法でエコロジカルなアプローチを試みてきた渡辺だが、本展は作家が訪れた伊豆海岸沿いで偶然出会った「自然と人間の関係の現実」を編集した、作家初の映像インスタレーションとなる。

「海は沖縄ではニライカナイとも呼び、異界への通路でもあります。異界は常世とも黄泉の国とも捉えられます。黄泉の国は古事記では根の国(死者の国)とも称され、外からくるものを運んでくる、われわれに変質をもたらす役割を古来より海が果たしてきたことを知らせます。

2022年現在、この生き物は哺乳類の水生動物と分類され、日本国内で打ち上げられた死骸は水産庁によって定められたマニュアルにより『適宜』処理されることが明文化されています。かつて神としての意味を持ち、現代では『適宜』処理される水生動物が、人間以外にとって、その存在価値は変化するものではありません。神話の時間も、現実の時間も、ただ人間が創り出した創造の産物にすぎないからです。歌舞伎町は人間によって創り出されたまちですが、果たしてこれは神話の時間か、それとも現実の時間なのでしょうか。この作品は形を変え、同年11月の渡辺自身がキュレーションする展示に繋がっていきます(本展ステイトメントより)」。

*──TOKYO culture researchは、特定の分野に依存せず、東京に起こる変化を研究・蓄積し、都市が変質していく特異点を取り出すことを目的として行う文化活動。デカメロンにて2022年に開催された新宿流転芸術祭では松田将英による日本初となるNFT自動販売機《Lunatic Pandora》「Magic Number」の共同キュレーションを行った。