1950 - 1970年代の絵本 絵本画家いわさきちひろ

　安曇野ちひろ美術館で 「1950 - 1970年代の絵本 絵本画家いわさきちひろ」が開催されている。

　いわさきちひろ（1918〜1974）は福井県生まれ、東京都育ち。藤原行成の書を学び、絵は岡田三郎助、中谷泰、丸木俊に師事した。1950年、紙芝居 「お母さんの話」を出版し、文部大臣賞を受賞。1956年に小学館児童文化賞、1961年に 『あいうえおのほん』産経児童出版文化賞、1973年には 『ことりのくるひ』（至光社）でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞などを受賞。代表作に 『おふろでちゃぷちゃぷ』（童心社）、 『戦火のなかの子どもたち』（岩崎書店）などがある。

　ちひろが絵本を描いた1950〜70年代は、日本の絵本が大きく花開いていった時代であった。第二次世界大戦の敗戦後、欧米の優れた絵本が紹介されるようになり、日本でも1冊すべてを1人の画家が描く絵本への模索が始まる。戦前から子供の本の主流であった 「絵雑誌」で童画家として活躍していたちひろも、1957年に初の絵本 『ひとりでできるよ』（福音館書店）を出版。

　1960年代からの高度経済成長とともに絵本の出版は増加し、絵本は黄金時代を迎えた。1960年代半ばには、ちひろの仕事の中心が絵本に移り、絵本の可能性を求め、1冊ごとに挑戦を続けていった。1968年には、ちひろ自身が文章も手がけた絵本 『あめのひのおるすばん』（至光社）を出版し、当時の主流であった物語絵本とは異なる 「感じる絵本」 という新たなジャンルを切り拓いた。

　本展では、ちひろの代表的な絵本を、彼女自身や当時の編集者の言葉、資料とともに、時代を追って紹介している。