山下麻衣＋小林直人

　国内外で映像や彫刻をメディウムに作品を発表してきた山下麻衣＋小林直人が、Takuro Someya Contemporary Artでは約7年ぶりとなる個展を開催する。

　山下と小林は2001年からユニットによる活動を開始。これまで、スイス、アルプスの山々を取り上げた彫刻と写真のシリーズ《How to make a mountain sculpture》をはじめ、自然を舞台とする作品をつくり出してきた。本展のタイトル「自然観察」のもと、自然を人の対義語としてではなく、人も宇宙も流れゆく自然の一部としてとらえ、石、海、山、犬、星、人を同等のモチーフとして観察した新作の映像作品4点を公開する。

　海と山という対極のものを向き合わせた《海の声を山に聞かせる》は、とある山を登りながら、作家2人が海で録音した波の音をスピーカーで流し、木々や鳥、連なる山々に聞かせている。いっぽう、「もの派風な構図を意識した」という《積み石》では、2人がうずくまって重なり合い、動かない石を演じることで「もの」と「生きもの」との境界あるいは連続性に疑問を投げかける。

　《犬か海か》は、《Anne and Anne's Sculpture》や《積み石》でも登場する作家の愛犬、アンが海に向かって延々と吠え続ける様子を映した作品。波を生き物と思っているかのように戦いを挑むアンと、応戦するように激しく波打つ海との不思議な対立構造を映し出す。《北極星》は、星空をビデオで撮影し、北極星が映る数ピクセルのみを拡大。道標として人々を導いてきた星の光で部屋を満たす。