EXHIBITIONS

日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念

フィンランド陶芸

―芸術家たちのユートピア

2018.07.14 - 09.06

ルート・ブリュック 陶板 聖体祭 1952-53 アラビア製陶所 コレクション・カッコネン Photo by Niclas Warius

アラビア製陶所美術部門 1945 Photo by Arabia

 シンプルでありながらも温かみのあるデザインで、時代を超えて愛され続けるフィンランドの陶磁器。日本でもフィンランドのプロダクト・デザインはしばしば取り上げられるが、作家による芸術作品を十分に紹介する機会は少ない。

 19世紀末に流入したアーツ・アンド・クラフツ運動の影響を大きく受けたフィンランドの美術・工芸は、1900年のパリ万国博覧会で高く評価され、世界的な注目を集めた。この成功は、当時ロシアからの独立を目指した建国の原動力ともなり、国家を挙げての振興によって20世紀中期にはフィンランド陶芸が世界的な潮流を生み出すまでに成長する。
 
 フィンランド陶芸の躍進の下地ともなったのは、美術工芸中央学校における陶芸家育成と、国を代表するアラビア製陶所美術部門の活動があった。美術部門では、作家たちによる自由な創作が許され、既成概念にとらわれない数々の傑作が生み出された。

 本展はフィンランド陶芸を体系的に紹介する日本で初めての試み。花器や壺、飾皿、彫像、陶板など137点の名作とともに、19世紀末のフィンランド陶芸の黎明期から最盛期ともいえる50・60年代までをたどる。