EXHIBITIONS

扇の国、日本

2018.11.28 - 2019.01.20
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彩絵檜扇 一握 平安時代 12世紀 島根・佐太神社 (島根県立古代出雲歴史博物館寄託) 重要文化財

 日本で生まれ発展した「扇」の起源は早く、10世紀末には中国や朝鮮半島に特産品としてもたらされという文献が残されている。そこには、それまで一般的だった団扇と区別して、折り畳む意味の「摺」の字をあてた「摺扇」「摺畳扇」や、「倭扇」などと登場し、扇が日本独自のものであったことを示している。

 宗教祭祀や日常生活での用具としてだけでなく、気分や場所、季節に応じて携帯できる扇は、貴賤を問わず、もっとも身近な美術品として親しまれ、和歌や絵が施されたものは、贈答品として大量に流通し、また、人と人をつなぐコミュニケーション・ツールの役割も担った。さらに、屛風や巻物、工芸や染織などとも結びつき、多彩な作品が生み出されていった。

 本展では、日本人が愛した「扇」を幅広く紹介。日本人が求めた美の真髄が凝縮され、様々なジャンルや流派と交わった「扇」の多面的な世界を楽しみたい。(※会期中、展示替えあり)