EXHIBITIONS

石塚源太「多相皮膜」

2019.07.02 - 09.21

石塚源太 感触の表裏 #12 2019

石塚源太 Untitled (Hung in a box) #1 2019

石塚源太 Dual phase 2019

 石塚源太は1982年京都府生まれ、伝統的な漆芸を核に制作を続ける美術家。06京都市立芸術大学工芸科漆工専攻卒業。ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン)への留学を経て、08年京都市立芸術大学大学院工芸科漆工専攻を修了した。00年代後半より作品発表を始め、18年にロンドンで初個展を開催。19年には京都市芸術新人賞、ロエベ クラフト プライズ2019大賞を受賞した。

 石塚は漆を素材に様々な表現を探るなか、漆に宿る「つや」によって生じる新たな知覚や、見る者の意識を触発する「皮膜」の存在、思考と作品を一致させ素材の現象を通して見せる抽象造形の可能性に着目。以来、漆特有の透明な「皮膜」を境に行き交う意識や感覚をとらえ、塗面と空間、鑑賞者に反照させることで、つやがもたらすを新たな世界観を探求している。近年ではとくに、「皮膜の隔たりとその周辺」をキーワードに、鏡面のように磨き上げたつやと、そこに映り込む世界に関心を寄せて制作に取り組む。

 本展では、約15点の新作で空間を構成し、二次元と三次元を行き来しながら他に類のない漆造形で「表面」や「皮膜」を探求する、石塚の思考と造形を紹介。乾漆技法で制作した「感触の表裏」シリーズより全高1.5メートルとなる最大作品や、乾漆で表した「皮膜」を半立体化した新作、金箔と古い枡を用いた《Untitled(Hung in a box)》、つややかな「表面」の奥行きを宇宙的なスケールまで広げた平面作品《Dual Phase》、漆の制作工程を「皮膜」層の重なりで融合させたモノタイプなどが展示される。