金子國義展　聖者の作法

　美徳と悪徳、聖と邪を、危ういバランスで優美な作品に昇華し到達させた画家・金子國義。清濁入り混じる狭間にこそ人間本来の美しさを見出した金子の表現は、見る者の先入観を凌駕した禁断の境地へと誘う。

　1960年代の高度経済成長期に、金子は独自の美学を形成し成熟させ、センセーショナルな衝撃とともに美術界に登場すると、三島由紀夫、澁澤龍彦、唐十郎、四谷シモンといった日本の前衛芸術を切り拓いた時代の寵児らとともに活躍。その作品は真のアヴァンギャルドであり、多くの人々を魅了し続けてきた。

　没後5年を迎えたいま、世界的にも再評価の機運が高まる金子。本展では、美術界にデビューした60年代から晩年に至るまで、その全貌を垣間見ることのできる希少な油彩、ドローイング、版画作品を展示・販売する。