EXHIBITIONS

沖潤子「刺繍の理り」

2020.07.18 - 08.22

沖潤子 水蜜桃 2020 Photo by Keizo Kioku © Junko Oki Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

沖潤子 水蜜桃(部分) 2020 Photo by Keizo Kioku © Junko Oki Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

沖潤子 泰山木 2020 Photo by Keizo Kioku © Junko Oki Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

沖潤子 泰山木(部分) 2020 Photo by Keizo Kioku © Junko Oki Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

沖潤子 紫陽花 2020 Photo by Keizo Kioku © Junko Oki Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

沖潤子 紫陽花(部分) 2020 Photo by Keizo Kioku © Junko Oki Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

 刺繍による独自の表現を生み出すアーティスト・沖潤子の個展がKOSAKU KANECHIKAで開催される。

 沖は1963年埼玉県浦和市生まれ、現在は鎌倉市を拠点に活動。古い布や道具が経てきた時間、またその物語の積み重なりに、刺繍と自身の時間の堆積を刻み込み、紡ぎ上げることで、新たな生と偶然性を孕んだ作品を発表してきた。

 現在開催中の山口県立萩美術館・浦上記念館での個展「anthology(アンソロジー)」(~2021年3月28日)では、全国から寄せられた7000個あまりの糸巻きを用い、新たに紡ぎ生まれたインスタレーション作品を展示。それぞれの糸巻きの、そしてその所有者たちの過ごしてきた時間と、布を支持体におびただしい数の針目によって立体化された沖の刺繍の造形が、会場となった美術館の茶室で出会い、1年という展示期間をかけて新しい物語をつくる。

 いっぽう本展では、「兎にも角にも刺繍に徹したい」という思いから、刺繍というもの自体に向き合ったシンプルな作品約10点で構成。世界中がウイルスの脅威にさらされる時期と重なって、自身の制作に対して心境の変化があったという沖は、媒体としての刺繍ではなく刺繍そのものに取り組み、本展を新たな始まりとして、起きている出来事と歴史を結びつけ、未来につなげたいとしている。