EXHIBITIONS

100歳記念 すごいぞ!

野見山暁治のいま展

日本橋髙島屋S.C.本館8階 ホール
2021.01.09 - 01.18

野見山暁治 近寄ってはいけない 2012~18

野見山暁治 男 1959

野見山暁治 本当は言えない 2020

 洋画家・野見山暁治の百寿を祝う展覧会「100歳記念 すごいぞ!野見山暁治のいま展」が日本橋髙島屋を皮切りに開催。百貨店での大規模な展覧会は初となる。会場では、1959年から2020年までに制作された油彩約60点を展示。

 野見山は1920年、当時は炭坑町であった福岡県穂波村(現・飯塚市)で生まれた。43年に東京美術学校を繰り上げ卒業と同時に応召。満州で病を得て送還され、福岡の療養所で終戦を迎えた。戦後の混乱期にあって不安を抱えながらも、荒廃した郷里の炭坑の姿形、円筒・円錐・球形といった人工物によってかたづくられた原風景のなかに、自身の制作の活路を見出す。

 52年、フランス政府私費留学生として渡仏。12年に及ぶ滞欧生活を過ごし、本物の西洋絵画にふれるいっぽうで、パリで目にした山水画の幽玄さから自己のなかの東洋的感覚に目覚める。以降、それまで描いていた風景や静物、人物といった「かたち」は姿を潜め、目に見えていたものを、豊かな色彩と自由なストロークによって心象化していく。

 帰国後の72年からは東京藝術大学教授に就任。76年から、東京美術学校出身の戦没画学生の遺族に取材し、その活動と尽力が戦没画学生慰霊美術館「無言館」(長野・上田市)設立へつながる。また執筆活動も続けており、78年には『四百字のデッサン』で第26回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。2000年に文化功労者に顕彰され、14年には文化勲章を受章する。

 美術画廊で同時開催となる「絵描き、道楽、続けて百年、野見山暁治です」は、14年に髙島屋で「はじめまして 百貨店 野見山暁治です。」を開催して以来、7年ぶりとなる待望の個展。「ぼくには絵しかなかった。いや、まっしぐらに絵が好きだった」と、絵を描くこと以外の人生は考えられなかった語る野見山の「いま」を、新作と近作を含む40余点によって展観する。