シャガール展

　色彩の魔術師とも称され、20世紀最大の画家のひとりであるマルク・シャガール（1887～1985）。ユダヤ人としてロシア西方、ベラルーシのヴィテプスクに生まれたシャガールは、1910年にパリに出て、キュビスムや未来派といった様々な芸術運動に影響されながら独自の画風を見出した。41年にアメリカへ亡命し、47年にフランスへ戻った後も精力的に活動を続け、98歳でその生涯を閉じた。
　
　革命と戦争の時代に翻弄されながらも、一貫して「愛と平和への祈り」をテーマとしたシャガール。鮮やかな色彩で描かれた作品は、奇抜な想像力と豊かな詩情に満ちあふれ、いまもなお世界中の人々に愛されている。

　シャガールはその生涯で油彩画、陶器、ステンドグラス、舞台美術など様々な分野で活動した。なかでも若い頃から手がけ始めた版画はライフワークとも言えるもので、銅版画やリトグラフといった技法で約2000点余りの作品を残している。

　本展は、シャガールが生涯にわたって重要なテーマとした旧約聖書に基づく『バイブル』、『千夜一夜物語』の名でも知られるイスラムの説話集をもとにした『アラビアンナイトからの4つの物語』、そして最高傑作との呼び声も高い『ダフニスとクロエ』『悪童物語』『サーカス』『オデッセイ』など8つの版画集を紹介。幻想的で彩り鮮やかに表現された、珠玉の版画作品約280点を展覧する。