I Care Because You Do

　The Massでは、ニューヨークを拠点とするキュレーター、マット・ブラックとの共同企画展「I Care Because You Do」を開催。ダン・フレイヴィン、スターリング・ルビー、ジュリー・カーティス、アーサー・ジャファら、国際的なアーティスト15名の貴重な作品群が一堂に揃うまたとない機会となる。

　20世紀末から現代に至るまで、様々なアーティストがミニマリズム、コンセプチュアリズム、ポスト抽象表現主義の成り立ちを明確にし、触発され、時には破壊し、その複雑な光景・環境を反映した作品を数多く生み出してきた。本展は、15名のアーティストの独自の目線で今日までの時代背景に改めて寄り添い、表現の方法とは何かを探る。

　本展の出発点となる作品は、市販されている蛍光灯を用いて私たちと環境との関係性への再考を促す、ダン・フレイヴィンの作品「untitled（to Virginia Dwan）2」。この作品は従来の色の光の線が交差、あるいは平行することで構成され、街のネオンをイメージしたマルチカラーの光が空間が景観を一変させる。

　スターリング・ルビー、アンドレア・マリー・ブライリング、スペンサー・ルイス、セイア・ゴメスなどのアーティストは、現代社会を反映した複雑で幾重にも重なる系譜を、作品を通し例として示してきた。フレイヴィンと同様、これらの現代アーティストの作品それぞれには、各時代が持つ要素や象徴性が取り入れられ、作品を観客が横断し、印象を変化させることを可能にするといった点に類似性を見出すことができる。

　また本展では、環境や作品が生み出す物質的な面だけではなく、人間性に焦点を当てたテーマも追求。ジェナ・グリボンやジュリー・カーティスら、具象をメインとするアーティスト、バンクス・ヴィオレットやアーサー・ジャファほか、複数の分野をまたぎ制作を行う作家たちが、テクノロジー、消費、ジェンダー、人種など、あらゆる現代社会に一貫する潜在的なプロセスを検証する。

　世界各地のアーティストを招聘し、アーティスト、作品、そして展示空間のあいだに特有の対話を生じさせる本展。東京のアンダーグラウンド・ストリート・カルチャーが芽吹いた原宿の中心部にある「The Mass」を会場に、文化が集う都市の共通点やつながりを強調しながら、展示作品とのコントラストを生み出す。