EXHIBITIONS

沖潤子「よびつぎ」

2021.06.05 - 07.10
11
5

沖潤子 抱擁1 2021 Photo by Keizo Kioku © Junko Oki Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

 沖潤子は1963年埼玉県浦和市生まれ。現在は鎌倉市を拠点に制作・活動。古い布や道具が経てきた時間、またその物語の積み重なりに、刺繍と自身の時間の堆積を刻み込み、紡ぎ上げることで、新たな生と偶然性を孕んだ作品を発表してきた。

 2021年3月まで、山口県立萩美術館・浦上記念館で1年間開催された個展「anthology」では、全国から寄せられた7000個あまりの糸巻きを用いて、新たに紡ぎ生まれたインスタレーション作品を展示。使いかけのまま時が止まった糸巻きは、沖によって新しい時間を刻み始め、それぞれが持つ物語はまた、展示空間で新しい物語へと続いた。

「よびつぎ」と題された本展は、その物語の続編とも言え、「anthology」展で生み出された作品に手を加えたものと新作が並ぶ。沖は本展に際して、次の言葉を寄せている。

「昨春より1年間、山口県立萩美術館・浦上記念館茶室にて展示をしていた作品をこの夏あらためてご覧いただくことになった。

特別な1年を経て帰ってきた作品たちを眺めていたら、そこに新しい時間の層を重ねたくなった。ハサミを入れ針目を加えたらどんな風景が見えるだろうか。それを見ないことには前に進めない気がした。できあがった作品は、新旧の時間が抱擁しあっているように私には見える。ここからまた歩きはじめるのだ(沖潤子)」。

 よびつぎ(呼継ぎ)とは、古い窯跡を掘り返して見つけた膨大な破片のなかから、合うものを探して継ぎ合わせる陶芸の技法。「時間の層を重ね違う風景をみつける」ことを目指す沖の作品からは、多様なものを取り込む寛容さと、荘厳な静けさのなかの激しいエネルギ—を同時に感じ取ることができるだろう。