EXHIBITIONS
「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展
アルゼンチン出身のアーティスト、ジュリオ・ル・パルクの日本初個展「ル・パルクの色 遊びと企て」が銀座メゾンエルメス フォーラムで開催される。
ル・パルクは1928年生まれ。ピート・モンドリアン(1872〜1944)やロシア構成主義に大きな影響を受け、幾何学的な抽象画の制作を開始。58年にフランスへ移住以降、同地を拠点に制作を続けている。60年にパリで発足した「GRAV(視覚芸術探究グループ)」の創立メンバー。66年には第33回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展絵画部門大賞を受賞した。
ル・パルクが参加した「GRAV」は、視覚的錯覚あるいは動力を用いたキネティック・アートや公共の場における観客参加を促す作品を通じて、従来の美術作品の枠組みや鑑賞方法を覆すような体験を社会に提案したグループ。当時の革命的な時代の熱気のなか、ル・パルクも政治的な運動にも身を投じながら、芸術が限られた人々のみに享受されることや鑑賞者が受動的な立場にとどまることに疑問を投げかけ、視覚的遊びやゲームの要素を用いることで、みなが平等に芸術に参加してほしいという願望をかたちにしていった。
近年では、ライト・アートや空間没入型作品の動向を再評価する「Suprasensorial: Experiments in Light, Color and Space」(ロサンゼルス現代美術館、2010)、「DYNAMO – Un siècle de lumière et de mouvement dans lʼart 1913-2013(光/ダイナミック)」(グラ ン・パレ、パリ、2013)などの展覧会を通じ、ル・パルクの活動は改めて評価される機会を得ている。
本展は、ル・パルクの70年を超える制作活動のなかでも、つねに鮮明な印象をもたらす「色」を主題として取り上げる。
ル・パルクは、黒と白、そのグラデーションを出発点に、自ら構想した14色のみを用いた作品を展開してきた。その作品群は、色彩論のように色を解析するのではなく、色を幾何学的なフォルム、あるいは可変性のメタファーとしてとらえるもので、シリーズごとに色の配列を設定し、回転や反復、分割などのバリエーションを探究することで生み出されている。
本展では、アーティストのこの問題意識に迫るべく、初期のモノクロ絵画や色彩探求のドローイングから始まり、代表作の《La Longue Marche(ロング・ウォーク)》や《Lames réfléchissantes(反射ブレード)》、また「GRAV」の時代から展開してきたモビールの新作までを紹介する。
展示は20周年を迎えるメゾンエルメスの建物全体で構成。ファサード(~10月中旬までの予定)やウィンドウ・ディスプレイ、エレベーターにもおよび、ル・パルクが目指す鑑賞者との開かれた出会いに挑む展覧会となる。色を通じて希求された試みや企て、また遊びの要素から、92歳を迎えてなお精力的に制作を続けるル・パルクとの出会いを楽しんでほしい。
ル・パルクは1928年生まれ。ピート・モンドリアン(1872〜1944)やロシア構成主義に大きな影響を受け、幾何学的な抽象画の制作を開始。58年にフランスへ移住以降、同地を拠点に制作を続けている。60年にパリで発足した「GRAV(視覚芸術探究グループ)」の創立メンバー。66年には第33回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展絵画部門大賞を受賞した。
ル・パルクが参加した「GRAV」は、視覚的錯覚あるいは動力を用いたキネティック・アートや公共の場における観客参加を促す作品を通じて、従来の美術作品の枠組みや鑑賞方法を覆すような体験を社会に提案したグループ。当時の革命的な時代の熱気のなか、ル・パルクも政治的な運動にも身を投じながら、芸術が限られた人々のみに享受されることや鑑賞者が受動的な立場にとどまることに疑問を投げかけ、視覚的遊びやゲームの要素を用いることで、みなが平等に芸術に参加してほしいという願望をかたちにしていった。
近年では、ライト・アートや空間没入型作品の動向を再評価する「Suprasensorial: Experiments in Light, Color and Space」(ロサンゼルス現代美術館、2010)、「DYNAMO – Un siècle de lumière et de mouvement dans lʼart 1913-2013(光/ダイナミック)」(グラ ン・パレ、パリ、2013)などの展覧会を通じ、ル・パルクの活動は改めて評価される機会を得ている。
本展は、ル・パルクの70年を超える制作活動のなかでも、つねに鮮明な印象をもたらす「色」を主題として取り上げる。
ル・パルクは、黒と白、そのグラデーションを出発点に、自ら構想した14色のみを用いた作品を展開してきた。その作品群は、色彩論のように色を解析するのではなく、色を幾何学的なフォルム、あるいは可変性のメタファーとしてとらえるもので、シリーズごとに色の配列を設定し、回転や反復、分割などのバリエーションを探究することで生み出されている。
本展では、アーティストのこの問題意識に迫るべく、初期のモノクロ絵画や色彩探求のドローイングから始まり、代表作の《La Longue Marche(ロング・ウォーク)》や《Lames réfléchissantes(反射ブレード)》、また「GRAV」の時代から展開してきたモビールの新作までを紹介する。
展示は20周年を迎えるメゾンエルメスの建物全体で構成。ファサード(~10月中旬までの予定)やウィンドウ・ディスプレイ、エレベーターにもおよび、ル・パルクが目指す鑑賞者との開かれた出会いに挑む展覧会となる。色を通じて希求された試みや企て、また遊びの要素から、92歳を迎えてなお精力的に制作を続けるル・パルクとの出会いを楽しんでほしい。