EXHIBITIONS

生誕120年 丸木位里展 実験の軌跡をたどる

2021.10.30 - 2022.01.30

丸木位里 牡丹 1967 丸木ひさ子氏蔵

丸木位里 グランドキャニオン 1989 丸木ひさ子氏蔵

丸木位里 不知火海 1980 原爆の図丸木美術館蔵

丸木位里 伯耆大山 1966 原爆の図丸木美術館蔵

 豪放にして繊細な水墨表現を通して、スケール感のある壮大な風景を中心に描き続けた画家・丸木位里(1901〜95)。その生誕120年にあたる2021年に、原爆の図丸木美術館の「生誕120年 丸木位里展 実験の軌跡をたどる」では、初期から晩年までの作品約30点を紹介する。

 広島の太田川の上流の農家に生まれた丸木位里は、上京して伝統的な日本画を学んだものの、それに飽きたらず、1938年には前衛的な日本画団体である歴程美術協会に参加。40年にはシュルレアリスムを標榜する美術文化協会に加わり、水墨画の多彩な技法を駆使して、抽象的で生動感に溢れる実験的な作品を制作した。

 50年には、妻・丸木俊との共同制作「原爆の図」第1部《幽霊》を発表し、それ以降、「原爆の図」は連作として15部まで描き続けた。いっぽうで60年以降は、日本国際美術展、サンパウロ・ビエンナーレなど国内外の展覧会で作品を次々と発表し、高い評価を得た。

 本展では、屏風作品のほか、戦前・戦後の実験的な精神に満ちた水墨画、「原爆の図」を創作する核となった人体デッサン、近年の調査研究で明らかとなった未公開作品などに、丸木俊との共同制作を加えて、丸木位里の画業を展観する。

 また本展の会期中には、修復作業を終えた丸木位里・俊の共同制作《南京大虐殺の図》(1975)、《アウシュビッツの図》(1977)、《水俣の図》(1980)など壁画作品の常設展示を再開する(2021年11月中旬以降予定)。