佐藤允「111 / トリプルワン」

　KOSAKU KANECHIKAでは、佐藤允（さとう・あたる）の個展「111 / トリプルワン」を開催する。会期は1月22日〜2月26日。

　佐藤は1986年千葉県生まれ。2009年に京都造形大学芸術学部情報デザイン学科先端アートコースを卒業し、現在は東京を拠点に制作を行う。

　佐藤は、描くことによって自ら、人、そして世界を理解し、またコミュニケートする。過剰とも言えるような緻密な鉛筆の線描写や独特の筆致によって、オブセッション、恐怖、恋愛などを描く。見えるもの、見えざるもの、現実と非現実、それらは入り混じり、ペインティング、ドローイング、立体的な箱型のペインティング、インスタレーションなど、様々なかたちをとりながらあふれ続ける。

　また制作において、佐藤は「アートのためのアート」であるなど、新しさや意味を求めるといったことを目的にしてこなかった。私たちの多くが、わからないまま避けてしまったり、自分の奥に持っていても蓋をし、背を向けてしまっていたりするものに対し、正面から向き合い、描いている。

　本展では、約20点もの新作ペインティングを展示。自身のこれまでよりも一段と深い部分と向き合う。

　佐藤は、本展のステイトメントにおいて「儀式」というキーワードを取り上げている。佐藤の言う「儀式」によって残された作品は、鮮烈でとても直裁であり、闇や痛みをも感じさせるいっぽうで、その「儀式」によって絵のなかに閉じ込められた記憶は、永遠の命を与えられ、美しさを帯びて鑑賞者の胸の奥に語りかける。