EXHIBITIONS

ランス美術館コレクション

風景画のはじまり コローから印象派へ

2022.02.09 - 03.27

クロード・モネ ベリールの岩礁 1886 Inv. 907.19.191 ランス美術館 © MBA Reims 2019 / Photo : C. Devleeschauwer

「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」展が茨城県近代美術館に巡回する。

 ランスはシャンパンの本場として、また歴代フランス国王の戴冠式が行われたノートルダム大聖堂を擁するフランス・シャンパーニュ地方の古都。街の中心に建つランス美術館は、近代以降、シャンパン醸造や繊維産業によって財を成した地元の蒐集家からの作品寄贈を受けて発展し、とくに同地の主要なシャンパン・メゾン、ポメリー社の経営者アンリ・ヴァニエ(1832〜1907)が遺贈したコレクションをその中核としている。とりわけフランス近代風景画のコレクションで知られ、19世紀のもっとも重要な風景画家のひとりであるジャン=バティスト・カミーユ・コロー(1796〜1875)の所蔵作品27点は、ルーヴル美術館に次ぐ規模だ。

 本展は、ランス美術館所蔵の珠玉の油彩画作品を中心に、版画・資料も合わせた約80点によって、約100年にわたる風景画の展開を一望する。

 17世紀以降、フランスの風景画は神話や物語が伴う理想的風景として表現され、アトリエのなかで合成・再構成された架空の自然が描かれた。しかし、19世紀半ばには、持ち運びが容易なチューブ入り絵具の発明によって、アトリエの外での制作が容易になり、鉄道網の発達も相まって、画家たちは様々な場所に赴いてリアルな風景に向き合った。そして明るい光の下で観取した自然の瑞々しさや力強さ、輝きを生き生きと表現するようになった。

 本展では、コローの師であるアシル=エトナ・ミシャロン(1796〜1822)、ジャン=ヴィクトール・ベルタン(1767〜1842)の理想化から写実へ向かう風景画を皮切りに、手つかずの自然のありのままの姿をとらえたギュスターヴ・クールベ(1819〜1877)、田舎や郊外の田園風景に惹かれたバルビゾン派、旅の記憶に叙情を交えて描いたコローなど珠玉の作品を紹介する。

 さらに、戸外制作の先駆者のひとりであり、水と大気と光の変化を画面に定着しようとしたウジェーヌ・ブーダン(1824〜1898)から、風景を輝かしい色彩によって光そのものとして表現するに至ったクロード・モネ(1840〜1926)ら印象派への道筋をたどる。