GWはどこに行く?
いま見るべき15の展覧会を
ピックアップ【東日本編】
いよいよ2018年のゴールデンウィークが幕を開けた。そこで旅行の計画に加えたい、各地で開催されている大型展覧会の中から編集部が注目する15の展覧会を3回に分けてピックアップ。第2弾は東日本編をお届けする。
シャガールの彫刻と巨大背景画が一堂に。 「シャガール―3次元の世界」(青森県立美術館)
青森県立美術館では、ロシア出身でフランスを中心に活動した芸術家、マルク・シャガールの世界に浸ることができる。
企画展示室では、画家として広く知られるシャガールの彫刻家としての一面に着目し、その三次元的な関心を探る展覧会「シャガール - 三次元の世界」が開催中だ。陶器や石彫、ブロンズ像などを含む全172点の作品により、画家の空間への意識や絵画と立体の影響関係を知ることができる。
また同館は、シャガールによるバレエ『アレコ』の背景画のうち、第1、2、4幕の3作品を収蔵していることでも知られている。そして現在、残る第3幕をフィラデルフィア美術館から借用し、展示中だ。2021年3月までの期間限定で展示されている同作を、「シャガール - 三次元の世界」のチケットで観覧することができる。色彩豊かな平面作品で知られるシャガールの、彫刻や背景画という貴重な作品の数々を同時に楽しむことができる絶好の機会だ。
|シャガール - 三次元の世界
会期:2018年3月10日〜5月6日
会場:青森県立美術館
住所:青森市安田字近野185
電話番号:017-783-3000
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期終了まで無休
料金:一般 1500円 / 高大生 1000円 / 小中学生無料
美術館での個展は世界初。 「ラファエル・ローゼンダール: ジェネロシティ 寛容さの美学」 (十和田市現代美術館)
インターネット空間を発想と表現の場として活動しているオランダ生まれのアーティスト、ラファエル・ローゼンダール。ウェブサイト上で、象徴的な色彩とシンプルな造形で構成された作品を公開しており、サイトへのアクセス数は年間約5000万にものぼるという。
近年ではインターネット空間を飛び出し、インスタレーションや絵画作品の展示など、様々な方法で表現を行っている。なかでも、2015年にニューヨークのタイムズ・スクエアの電光掲示板を使って行われた大規模なインスタレーションは大きな話題を呼び、その知名度を不動のものとした。
そんな世界中で注目を集めるローゼンダールの、世界初となる公的な美術館での個展が十和田市現代美術館で開催中。本展では、映像インスタレーション、タペストリー作品、英語俳句、インタラクティブ映像の展示によって構成されており、ローゼンダールの芸術の豊かな広がりを楽しむことができる。
|「ラファエル・ローゼンダール:ジェネロシティ寛容さの美学」
会期:2018年2月10日〜5月20日
会場:十和田市現代美術館
住所:青森県十和田市西二番町10-9
電話番号:0176-20-1127
開館時間:9:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月 ※祝日の場合は翌火、ただし5月1日は開館
料金:企画展+常設展セット券 1000円 / 企画展のみ 600円 / 高校生以下無料
「だまし絵」を楽しむ。 「夢幻×無限 ~エッシャー、ダリ、福田繁雄~」 (諸橋近代美術館)
サルバドール・ダリの絵画、彫刻、版画作品など約340点を所蔵する、アジア最大級のダリの常設美術館として知られている福島・磐梯朝日国立公園内の諸橋近代美術館。美術館とともに、磐梯朝日国立公園の自然や、会津地方の名所・史跡を堪能できる。
そんな諸橋近代美術館では、企画展「夢幻×無限 ~エッシャー、ダリ、福田繁雄~」を楽しみたい。「だまし絵」の旗手として知られ、高い人気を誇るエッシャー、シュルレアリスム運動に関わりながら独自の作風を確立していったダリ、そして「日本のエッシャー」の異名を持つグラフィックデザイナー・福田繁雄の3者の作品が一堂に会する貴重な機会だ。
|夢幻×無限 ~エッシャー、ダリ、福田繁雄~
会期:2018年4月20日〜6月24日
会場:諸橋近代美術館
住所:福島県北塩原村大字桧原字剣ヶ峯1093-23
電話番号:0241-37-1088
開館時間:9:30〜17:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 950円 / 高大生 500円 / 中学生以下無料
テクノロジーがもたらす光と影。 「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」 (水戸芸術館)
インターネットが普及し始めてから約20年。テクノロジーは人類に新しい世界をもたらし、希望に満ちた新しい可能性とともに、様々な問題や混乱が危惧されている。このような時代の光と影について、アーティストはどのように反応しているか。
茨城の水戸芸術館で開催中の「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」は、こうした時代の変化をとらえ、鋭い感性で応答する国内外のアーティスト8組の作品を通し、テクノロジーがつくりだすこれからの社会について考える展覧会だ。
谷口暁彦が監視カメラを用いて制作した写真作品や、ヒト・シュタイエルによるテクノロジーが持つ不安を煽るような側面にスポットを当てたインスタレーションなど、現代だからこそ生まれた作品が並ぶ。なお、同館では益永梢子の個展も同時開催しているので、合わせて注目したい。
|「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」展
会期:2018年2月10日〜5月6日
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
電話番号:029-227-8111
開館時間:9:30〜18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月 ※祝日の場合は翌火
料金:一般 800円 ※中学生以下、65歳以上は無料
参加作家:デヴィッド・ブランディ、小林健太、サイモン・デニー、セシル・B・エヴァンス、エキソニモ、レイチェル・マクリーン、ヒト・シュタイエル、谷口暁彦
時代に翻弄された、日米で画家たちの軌跡。 「国吉康雄と清水登之 ふたつの道」 (栃木県立美術館)
栃木県立美術館では、若くしてアメリカに渡り、働きながら美術を学んだ国吉康雄と清水登之の展覧会が開催中。
1910〜20年代初頭のニューヨークで画家として活動を開始し、日本画や古いアメリカ絵画の技法を取り入れた作品を制作した国吉と、哀歓あふれる庶民の暮らしを描いた清水。二人はアメリカで評価され、画業を充実させながら交流を持ち続けた。
しかし、そんな二人の後半生は戦争によって大きく異なる道を歩むことになる。国吉は日米開戦後もアメリカに残り、日本の軍国主義に対抗する活動を行い、いっぽうの清水は日本に戻り、早くから戦争画を描きながらアジア圏内で従軍したほか、戦時下には愛息を失い、疎開先の生地・栃木で没する。
本展では、20世紀前半の日本とアメリカに生きた両者の生涯と作品を対比させて展示。ニューヨークでともに活動した石垣栄太郎ら日本人画家の作品のほか、アート・スチューデンツ・リーグでの師であるジョン・スローン、ジョージ・ベローズらの作品もあわせて紹介される。20世紀の日米という時代に翻弄された芸術家たちの作品と人生に迫る展覧会だ。
|「国吉康雄と清水登之 ふたつの道」
会期:2018年4月28日~6月17日
会場:栃木県立美術館
住所:栃木県宇都宮市桜4-2-7
電話番号:028-621-3566
開館時間:9:30~17:00(5月19日〜19:00)
休館日:月 ※祝日の場合は翌火
料金:一般 800円 / 高大生 500円 ※中学生以下無料