東京都写真美術館で新展覧会シリーズ「写真発祥地の原風景」が開催。第一弾は多文化の交流地・長崎
東京都写真美術館が新たな展覧会シリーズ「写真発祥地の原風景」を開催する。第一弾は西洋と東洋の文化の交流地「長崎」を取り上げ、写真文化の源流を探る。会期は2018年3月6日〜5月6日。
東京都写真美術館が、新たな展覧会シリーズ「写真発祥地の原風景」を開催する。同館はこれまで日本の写真文化の中心として、「初期写真(=古写真の中でも特に19世紀のもの)」に焦点を当てた展覧会を、継続して開催してきた。
本シリーズではその新たな展開として、日本の「写真発祥地」とされる3都市、長崎・北海道・東京に焦点を当て、日本の写真文化発展の源流を考察。第1弾となる本展では、江戸から明治にかけて、西洋と東洋の文化が交差融合し独自の文化が発達した長崎を取り上げる。
外国のみならず日本国内からも遊学先として栄え、多人種が行き交う街であった長崎。ピエール・ロシエやフェリーチェ・ベアトのような外国人写真師に加え、招聘オランダ人医師A.F.ボードインなども滞在中に多くの写真を残し、さらに、上野彦馬・幸馬や内田九一などの日本人写真師らも長崎を拠点に活動、写真文化を普及させていった。
本展は、「写真以前の長崎」「長崎と写真技術」「長崎鳥瞰」「長崎クローズアップ」の4章構成で展開。国内で保存される日本最古のパノラマ写真《長崎パノラマ》や、長崎を代表する祭礼「長崎くんち」をとらえた明治中期の写真など、当時の風俗を物語る写真資料に加え、貴重な当時の機材や、版画、古地図、旅行記など様々な資料で、幕末・明治の長崎へ迫る。
また、「物」としての写真に焦点を当てるのも本展の特徴。立体的な展示を通して、当時の写真の大きさ、台紙や写真帖の様式などから、当時の情況を推察する。さらにプロジェクションでステレオ写真(=3D写真)の立体感を再現する展示などもあり、当時の「長崎」を臨場感をともなってとらえられる展覧会となっている。