2018.3.27

様々な肩書きを持つ稀代の表現者。ブルーノ・ムナーリの日本最大となる回顧展が開催

イタリアの美術家、ブルーノ・ムナーリの生涯にわたる作品約320点を紹介する日本最大の個展が、神奈川県立近代美術館 葉山で開催される。会期は4月7日〜6月10日。

ブルーノ・ムナーリ 役に立たない機械 1934 / 1983 特定非営利活動法人市民の芸術活動推進委員会 © Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari
前へ
次へ

 イタリア・ミラノで生まれたブルーノ・ムナーリ(1907〜98)は様々な肩書を持つことで知られている。

 1930年代にはイタリア未来派の一員として最初期のキネティック・アートでありモビールの先駆けとなる《軽やかな機械》《役に立たない機械》を発表。

ブルーノ・ムナーリ 穴のあるコンポジション 1950 カーサペルラルテ=パオロ・ミノーリ財団 © Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari
ブルーノ・ムナーリ 無題 1930 カーサペルラルテ=パオロ・ミノーリ財団 © Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari

 一方で、1930〜40年代にはグラフィックデザイナー、アートディレクターとして雑誌の編集にも携わる。またその頃には、幼い息子のために仕掛け絵本の企画・デザインなども手掛けた。

 58年には、イタリアを訪れていた詩人・美術評論家の瀧口修造と知り合い、以後滝口を通じて作曲家・武満徹とも親交を深め、65年には日本で個展を開催。60年代以降も、しばしば日本を訪れ、日本の伝統的な美意識やデザインに共鳴し、影響を受けた。また晩年は、子供のための造形ワークショップ活動にも力を注いだムナーリ。

ブルーノ・ムナーリ 旅行のための彫刻 1965 富山県美術館 © Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari

 本展では、未来派に関わっていた時代の作品、そして晩年の絵本原画など、日本初公開の作品約150点を含めた、約320点を紹介する日本最大の回顧展となる。美術家、グラフィックデザイナー、プロダクトデザイナー、教育者、研究者、絵本作家など、様々な顔を持つブルーノ・ムナーリの多彩な表現に触れることができるだろう。

 なお、神奈川県立近代美術館 葉山では、久米民十郎や村井正誠らによる日本近現代の抽象画22点を展示した、コレクション展「抽象の悦び」も会期中同時に開催される。