フランスを代表する映画作家、
アニエス・ヴァルダの東京初個展
「Bord de Mer」が原宿で開催中
フランスを代表する映画作家、アニエス・ヴァルダの個展「Bord de Mer」が東京・原宿のBLUM & POEで開催中だ。アニエスにとって東京では初の個展開催となる本展では、映像インスタレーションおよび初期の写真作品が発表されている。会期は8月4日まで。
アニエス・ヴァルダはフランス・パリを拠点に活動している映画作家。2015年にカンヌ国際映画祭名誉賞、17年には第90回アカデミー賞名誉賞を受賞したほか、パリやシカゴ、ブリュッセルなどで数々の展覧会も開催。その作品は、パリのポンピドゥー・センターやカルティエ現代美術財団、ロサンゼルス・カウンティ美術館、ニューヨーク近代美術館に所蔵されるなど、フランスを代表する映画作家として知られている。
当時のフランス映画シーンで先駆的とされた『ラ・ポワント・クールト』(1955)を皮切りに、その後も『5時から7時までのクレオ』(1961)、『ヴァガボンド』(1984)、『ジャック・ドゥミの少年期』(1991)、『落穂拾い』(2000)など、数多くの映画作品を発表。批評界からも注目を集め続けてきた。
03年頃、ヴァルダは「歳とった映画監督から若手ヴィジュアル・アーティストへ」と宣言し美術家に転身。現在は、立体やインスタレーションの手段を用いて、「時間」「空間」「現実性」を表象した作品を制作している。なお、今回の「Bord de Mer」展(日本語で「海岸」の意味)も、「過去」「永続性」「現在」といった3つの異なる時間尺をテーマに扱っているという。
本展は、展覧会と同タイトルの映像インスタレーションを中心に構成。その作品は、正面のスクリーンに海景、床上の台座には寄せては打ち返す波の動きが投影されるというもの。
加えて、50〜60年代に制作されたヴィンテージ・プリントも同時公開される。本シリーズは、ヨーロッパの街角を背景に、ヴァルダの偏愛的モチーフである「猫」へのまなざしをとらえたモノクローム写真であり、のちに映画分野で脚光を浴びるようになったヴァルダにとって、数々の映画作品やヴィジュアル・アート創造の源泉でもある。
ヴァルダにとって、東京では初の個展開催となる本展。ヴァルダ自身の心象風景のような空間を体感してほしい。