ゴッホの耳の再現も。「2018年のフランケンシュタイン」展で見るバイオ・アートの現在
イギリスのSF小説家、メアリー・シェリーが『フランケンシュタイン』を発表して200年となる2018年、バイオ・アートの最新形を紹介する企画展「2018年のフランケンシュタイン」が東京・表参道のGYREで開催される。キュレーションは金沢21世紀美術館学芸員の髙橋洋介。会期は9月7日〜10月14日。
1818年にイギリスのSF小説家、メアリー・シェリーによって生み出されて以降、数々の文脈で受け継がれてきた「フランケンシュタイン」という存在。その誕生から200年を迎えた今年、「2018年のフランケンシュタイン」と題した展覧会が開催される。
本展のキュレーションを担当するのは金沢21世紀美術館で「DeathLAB: 死を民主化せよ」(2018)、「バイオバロック」(2017)、「コレクション展2死なない命」(2017〜18)、「Ghost in the Cell: 細胞の中の幽霊」(2015〜16)などを手がけてきた学芸員の髙橋洋介。
髙橋は『フランケンシュタイン』で提起された「創造物による創造主への反乱」や「神に代わり生命を創り出すことの矛盾」といった問題は、「人工知能(AI)や遺伝子組み換え技術が飛躍的に発展する今日、古びるどころか、ますます現代的なものになってきている」とする。
本展では、バイオテクノロジーや生物を使った「バイオ・アート」の騎手として注目される国内外のアーティストの作品を中心に紹介。
DNAを合成してゴッホの左耳を再生するドイツのディムット・ストレーブをはじめ、路上のゴミからDNAを抽出して個人の顔を再現するアメリカのデューイ・ハグホーグ、アレキサンダー・マックイーンの皮膚を幹細胞技術で再生しレザージャケットに仕立てるイギリスのティナ・ゴヤンクなど、日本初公開の作品や資料を通して、フランケンシュタインの諸問題を「死者の蘇生」「人新世における生命」「生政治」から読み解くことを試みる。
展示は「蘇生」「人新世」「生政治」の3章で構成。上記のアーティストのほか、芸術を通して、科学やデザインなどの領域を超えた研究・実践を行うアーティスト集団「BCL」や、生き物との協働作業によって作品制作を行うAKI INOMATAなど総勢8組が参加し、バイオ・アートの現在形をたどる。