2019年度の森美術館は「塩田千春展:魂がふるえる」「未来と芸術展(仮題)」の2展覧会を開催
東京・六本木の森美術館が、2019年度に開催する展覧会の概要を発表。2つの展覧会を行うことを明らかにした。
東京オリンピック・パラリンピックを翌年に控えた2019年度、森美術館は「塩田千春展:魂がふるえる」「未来と芸術展(仮題)」という2つの企画展を開催することを明らかにした。
6月20日スタートの「塩田千春展:魂がふるえる」は、ベルリンを拠点に、国際的な活躍を見せる日本人アーティスト、塩田千春の個展。塩田は1972年大阪府生まれ。96年京都精華大学卒業後、渡独。ブラウンシュバイク美術大学ではマリーナ・アブラモヴィッチのもとで学んだ。これまで南オーストラリア美術館(2018)、ヨークシャー彫刻公園(2018)、国立国際美術館(大阪、2008)を含む世界各地での個展のほか、シドニー・ビエンナーレ(2016)、キエフ国際現代美術ビエンナーレ(2012)、横浜トリエンナーレ(2001)など国際展にも多数参加。2015年には第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館代表作家に選ばれた。
「塩田千春展:魂がふるえる」は記憶、不安、夢、沈黙など、かたちのないものを表現したパフォーマンスや、黒や赤の糸を空間全体に張り巡らせた圧倒的なインスタレーションで知られる塩田の20年の活動の全容に迫る企画で、キャリア最大規模の個展となる。
副題の「魂がふるえる」 には、言葉にならない感情によって震えている心の動きを、他者にも伝えたいという作家の思いが込められている。大規模なインスタレーション6点を中心に、立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の関連資料などを網羅的に紹介し、「不在のなかの存在感」を一貫して追究してきた作家の活動を一望できる。企画は片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)。
そして11月19日スタートの「未来と芸術展(仮称)」は、人工知能、バイオ技術、ロボット工学、AR(拡張現実)など最新の科学技術と、その影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の人間像やライフスタイル、環境問題を考察する展覧会だ。
人工知能にによる生活スタイルの変化、ブロックチェーン技術がもたらす新しい信用と価値、多様なバイオ技術とその影響といった2〜30年後の未来を思い描き、その新しい世界の可能性について考える本展。豊かさとは何か、人間とは何か、生命とは何かという根源的な問いが照射される。企画は南條史生(森美術館館長)、近藤健一(森美術館キュレーター)、德山拓一(森美術館アソシエイト・キュレーター)。