それぞれのリアリティと社会への眼差し。「小さいながらもたしかなこと」が東京都写真美術館で開催
写真、映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来性のある作家を発掘するために年に1度行われている東京都写真美術館の企画「日本の新進作家」展。今年は「小さいながらもたしかなこと」をテーマに、5人の作家が展示を行う。会期は12月1日〜2019年1月27日。
2002年から毎年開催されている、東京都写真美術館の「日本の新進作家」展。15回目となる今回は「小さいながらもたしかなこと」をテーマに、森栄喜、ミヤギフトシ、細倉真弓、石野郁和、河合智子の5名を紹介する。
森栄喜は、親しい人々と自身が家族のように演じている姿をセルフタイマーで撮影し、イメージ全体を赤くプリントした「Family Regained」などを展示。ミヤギフトシは男性の部屋を夜に訪ね、暗闇で長い露光時間をかけて相手を撮影した新作《Sight Seeing / 感光》を発表する。
細倉真弓は、ライター・磯部涼による月刊誌連載「ルポ川崎」の取材で撮影したシリーズ「川崎」を発表。さまざまなバックグラウンドを持つ人々が集まる川崎の文化や風景をとらえる。
石野郁和は新作「Melon Cream Soda Float」で、認識の揺らぎから社会や文化の構造が崩れて見える空間を提示。河合智子は形を変え続けるベルリンの街をきっかけに、人間、都市、自然の関係性を考察する作品《On the Origin of Springs / 泉の起源について》などを展示する。
自然災害や経済格差、LGBTの人々に対する法的整備の遅れなど、個々を取り巻く状況が大きく揺れ動くいま、作家たちが作品に込める「小さいながらもたしかなこと」を探る本展。それぞれのアーティストとゲストによるトークも、あわせてチェックしたい。