5人のアーティストが見せる「パラランドスケープ」とは? 拡張する「風景」に向き合う展覧会が三重県立美術館で開催
三重県立美術館で、注目のアーティストによる作品を「風景」を手がかりに紹介する展覧会「パランドスケープ “風景”をめぐる想像力の現在」が開催される。伊藤千帆、稲垣美侑、尾野訓大、徳重道朗、藤原康博の5名が参加する本展の会期は、2019年1月4日〜3月24日。
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SNSの普及やテクノロジーの発展に伴い、いまや空間的・時間的な制限を超えて私たちの前に表れる「風景」をテーマに、三重県や東海圏にゆかりのアーティストを紹介する展覧会「パランドスケープ “風景”をめぐる想像力の現在」が三重県立美術館で開催される。参加作家は伊藤千帆、稲垣美侑、尾野訓大、徳重道朗、藤原康博の5名。
伊藤千帆は、これまで液状の天然ゴムと板材などを組み合わせたインスタレーションを発表してきた。本展では、天井高8メートルを超える美術館のエントランスホールを舞台に、天窓から地面へと枝が伸びていく作品を出現させる予定だ。
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稲垣美侑は、自身のルーツにつながる三重県内で、離島などを訪ねた体験をもとにした絵画を展示。また、長時間露光で闇の中の採石場や藪の中を撮影してきた尾野訓大は、シャッターを押す自分ですら見ていない、複数の時間軸が交差するイメージを提示する。
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徳重道朗は、リサーチに基づいた制作に挑戦。三重県南部の沿岸地域における文化や伝承、インフラ整備に見る風景の変遷をテーマにインスタレーションを展開する。そして、油彩や立体を幅広く手掛けてきた藤原康博は、自身にとって何気ない風景を異化するモチーフとして納屋を選び、インスタレーション作品を展示。会場に仮設される納屋には、来場者が足を踏み入れることができる。
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5人のアーティストがそれぞれの風景を模索し、サイトスペシフィックな展示を行う本展。拡張される「パラランドスケープ」に入り込み、一見取るに足らないような経験が持つ豊かさを見つけ出してみたい。
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