ストリートを撮り続ける写真家、アリ・マルコポロスの個展が開催。さまざまなコミュニティをとらえた親密な映像体験とは?
スケートボードやヒップホップなど、ストリート・カルチャーに接近した写真で知られるアリ・マルコポロスの個展が、東京・青山のファーガス・マカフリー東京で開催される。会期は2019年1月12日〜3月9日。
アリ・マルコポロスは1957年オランダ生まれ。79年に初めてニューヨークを訪れ、程なくしてダウンタウンのアートシーンやヒップホップ・カルチャーに参加する。80年から作品の制作を始め、撮影する人物のライフスタイルや行動にヒントを得たドキュメンタリー写真を数多く手がけてきた。
アンディ・ウォーホルのスタジオでモノクロ写真の印刷業務を2年行った後、写真家であるアーヴィング・ペンのスタジオ・アシスタントを努めたマルコポロス。ファインアートとストリート・フォトグラフィーの垣根を超える写真は、ファッションや音楽、広告など各方面から熱い支持を受けている。
そんなマルコポロスは、今回の個展で映像作品を発表。ハイライトとなるのは、ニューヨークのブルックリンに位置する公共のバスケットボール・コートの風景を収めた映像作品《The Park》だ。映像はコートの社会的な一面を明らかにしながら、試合のせめぎ合いや地元の人々とプレイヤーの会話など、何気ない日常をとらえている。
当初サイレント・フィルムとして発表された同作だが、今回はジャズピアニストのジェイソン・モランによる即興演奏をサウンドトラックとして追加。静かな眼差しで都会を見つめる同作にピアノ演奏で応えたいというモランの熱意で、2人のコラボレーションが実現したという。
そのほかにも、マルディグラ・インディアンのトライブ(部族)におけるダンスや歌のリハーサルの様子を収めた《Monogram Hunters》や、アフリカ系カナダ人が集う教会を、旅人としての目線で捉えた《Upper Big Tracadie》などの映像作品も展示。
バスケットボール・コートや教会など公的な場における生活を、静かで親密な距離から撮影した映像作品にフォーカスする本展。ストリートを見つめ続けてきたマルコポロスの、新たな一面を見ることができるだろう。