現代の「日本の美」とは何か? 南條史生と名和晃平がアドバイザーの展覧会「時を超える:美の基準」が京都・二条城で開催
森美術館館長・南條史生と彫刻家・名和晃平がアドバイザーを務める展覧会「時を超える:美の基準」が、世界文化遺産である京都・二条城の⼆の丸御殿台所と御清所(重要⽂化財)で開催される。日本初のICOM(国際博物館会議)京都⼤会と、二条城の世界遺産登録25周年を記念する本展の狙いとは?
世界141の国と地域からミュージアムの専⾨家が集う、⽇本で初めてのICOM(国際博物館会議)⼤会が、今年9月に京都で行われる。この開催と、元離宮⼆条城の世界遺産登録25周年を記念して行われるのが、「時を超える:美の基準 Throughout Time: The Sence of Beauty」だ。
会場となるのは、通常⾮公開である二条城の⼆の丸御殿台所と御清所(重要⽂化財)。森美術館館長・南條史生と京都在住の彫刻家・名和晃平がアドバイザーを務める本展では、名和を含め、⻘⽊美歌、⼩林且典、須⽥悦弘、チームラボ、⻄川勝⼈、ミヤケマイ、宮永愛⼦、向⼭喜章らが参加。
各作家が「歴史との対話」というテーマに向きあい、⻘⽊、須⽥、名和、向⼭の4作家は、本展のための新作または未発表作を展示するという。
南條は本展の開催にあたり、「この伝統的空間と繊細で豊かな対話を⽣み出すことができる作品を選定し、⽇本の美学とは何か、何が新しく、何が普遍的なのか、古いことと新しいことの価値は何か、といった問いをテーマとしたいと考えた」としている。
テクノロジーの進化とともに浮上する、⼈間とは何かという問い。南條はこう続ける。「美と芸術こそが⼈間が⼈間にとどまることの条件として浮上するのではないだろうか。この展覧会の密やかな対話に、そのような思いを読み取っていただければ」。
いっぽう名和は、「日本の美」についてこう語る。「本当の『日本らしさ』はわざわざアピールしたり、つくるものではなく、表現のなかに潜んでいるものだと思います。それは作家が恣意的に表そうとするのではなく、素材との付き合い方や端部の仕上げ方、空間のつくり方など、感覚的に選択している部分に現れるのではないでしょうか」。
なお本展では細⾒美術館が協⼒し、京都出⾝で江⼾時代を代表する画家・伊藤若冲による代表作《鶏図押絵貼屏⾵》の⾼精細複製(レプリカ)を展⽰。加えて、細⾒美術館館⻑・細⾒良⾏監修のもと、京友禅と⽇本画の⼯房である豊和堂の⽇本画絵師たち(RINne Associe)がつくりあげた、伊藤若冲《鶏図押絵貼屏⾵》と初⾳ミクが融合した⾁筆絵画も特別出展される。
世界のミュージアム関係者が集結する京都で本展が見せる「日本の美」はどのように受け止められるのか。わずか4日間の展覧会に注目だ。