彫刻とは「時空を自由に移動することができるメディア」。利部志穂の個展がKAYOKOYUKIで開催
生活のなかで不要となったものや壊れて廃棄された拾得物、あるいはホームセンターで購入できる建築資材など、様々なモノを使用して彫刻作品を制作する利部志穂。今回、その個展「マントルプルーム ― イザナミ、ペレの怒り。」が、東京・駒込のKAYOKOYUKIで開催されている。会期は10月6日まで。
彫刻家・利部志穂(かがぶ・しほ)の個展「マントルプルーム ― イザナミ、ペレの怒り。」が、東京・駒込のKAYOKOYUKIで開催されている。会期は9月7日〜10月6日。
利部は1981年神奈川県生まれ。2005年に多摩美術大学美術学部彫刻学科を研究生で卒業後、07年に同大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了した。14年にクリエイター交流派遣プログラム「KAKEHASHI プロジェクト」にてニューヨーク、ロサンゼルスに滞在。その後文化庁新進芸術家海外研修制度の助成を得て、17年より2年間ミラノを拠点に活動を行った。現在は、東京を制作と活動の拠点としている。
これまで「所沢ビエンナーレ “引込線2015”」(旧所沢市立第2学校給食センター、埼玉、2015)といった芸術祭のほか、「KAKEHASHI Project」(ジャパン・ソサエティ、ニューヨーク、2014)、「アーティスト・ファイル2013ー現代の作家たち」(国立新美術館、東京、2013)など国内外のグループ展にも参加してきた。
生活のなかで不要となったものや壊れて廃棄された拾得物、あるいはホームセンターで購入できる建築資材など、様々なモノを使用して彫刻作品を制作する利部。作品を通じて、多様なモノが有する日常的な意味や機能を解体し、組み合わせて接合することによって新たな関係性を形成することを試みている。
本展は、2年間のミラノ滞在を経て、同ギャラリーでは約4年ぶりの個展となる。展覧会タイトルの「マントルプルーム ― イザナミ、ペレの怒り。」は、地殻から発生する流動化したマントルの柱が地表に吹き出す火山活動が、日本とハワイに伝わる火山の女神であるイザナミとペレのように、嫉妬や怒りから人々を焼き尽くす女性になぞらえて神話化されていることに由来しているという。本展では、こういった物理的な自然現象という側面と、人間的な物語性という側面の双方向からアプローチした作品を見ることができる。