画家・坂本夏子が自身初となる作品集を刊行。NADiff Galleryで開催中の新作展もチェック
画家・坂本夏子が自身初となる作品集を12月に刊行する。これを記念して現在、すべて新作による展覧会「迷いの尺度、スピンオフ」が、東京・恵比寿のNADiff Galleryで開催されている。会期は10月20日まで。
迷宮のようなミステリアスな空間を表現する画家・坂本夏子が、自身初となる作品集『No Day without a Stroke ― 坂本夏子の絵画ログ2006-2019』(赤々舎)を12月に刊行する。全8章により構成される本著は、坂本がこれまでに残してきた油彩やドローイング、手帖資料、展示写真、テキストまでを収録し、坂本自身が「ログ」と呼ぶところの絵画行為の時間的蓄積をそのまま提示するもの。
現在、本著の刊行を記念して、すべて新作による展覧会「迷いの尺度、スピンオフ」が、東京・恵比寿のNADiff Galleryで開催されている。会期は10月20日まで。
近年、坂本は「絵画でしか表すことができない世界」の表現を追求し、描画や構成などにおいて実験的な試みを重ねながら、描く行為そのものを前景化させた表現を深めてきた。19年6月のANOMALYでの個展「迷いの尺度ーシグナルたちの星屑に輪郭をさがして」で発表された絵画作品《Signals》は、坂本の表現に新たな展開を生み出した。
その表現は、宇宙空間やインターネット空間を想起させるような無限に連続していく空間を背景に、独特の質感とリズムを湛えた絵具の点とグリッドが集積し、二次元である平面に四次元の時空を出現させるというもの。
本展では、同シリーズで取り組まれた実験性を引き継いだ新作のペインティングのほか、ドローイングや立体作品を展示。坂本が描き出す不思議な視覚体験を堪能したい。