白髪一雄、東京初の大規模個展が東京オペラシティ アートギャラリーで開催へ
戦後日本の前衛芸術を牽引した具体美術協会の中心メンバーとして知られ、近年、世界的に再評価されている白髪一雄。その東京初の大規模個展が、東京オペラシティ アートギャラリーで開催される。会期は2020年1月11日〜3月22日。
戦後日本の前衛芸術を牽引した具体美術協会(以下、具体)の中心メンバー・白髪一雄 (1924〜2008)。その東京初となる大規模個展が、2020年1月より東京オペラシティ アートギャラリーで開催される(〜3月22日)。
白髪は兵庫県尼崎市生まれ。具体に参加する前年の1954年より、床に広げた支持体に足で直接描く「フット・ペインティング」の制作を始め、その実践と探求によって未知の領域を切り拓いた。
60年代以降は密教にも興味を抱き、71年には比叡山延暦寺で得度し天台宗の僧侶となる。具体は吉原治良の死去を機に72年に解散。この頃から、白髪の作品には密教の影響が表れ始め、素足にかわってスキージ(長いヘラ)を用いた作品を制作するようになる。その後、ふたたび「フット・ペインティング」による表現に回帰していった。
近年では、2013年にニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された具体:素晴らしい遊び場 Gutai: Splendid Playground」をきっかけに、具体作家たちの評価は高まりを見せ、なかでも白髪の作品はとくに注目されている。
白髪の没後10年を経て開催される本展では、具体以前の白髪の初期作品をはじめ、52年に金山明、村上三郎、田中敦子らと結成した「0会(ゼロ会)」時代の作品を展示。もちろん、1950〜60年代の具体全盛期の傑作・代表作とされる作品も30点が勢揃いする。
これに加え、白髪が幼少期より愛読していた中国の古典『水滸伝』に影響され制作した「水滸伝」シリーズや、70年代の密教に影響を受けた作品群も展覧。具体時代初期のパフォーマンスや制作過程などの貴重な記録映像、多数のドローイング、写真、スクラップブック、原稿などを同時に公開することで、白髪の制作の背景を紐解くことを試みるという。