向田邦子、51年の軌跡をたどって。スパイラルで没後40年記念イベント「いま、風が吹いている」が開催へ

　ラジオ番組の構成やテレビドラマの脚本、エッセイ、小説など、多彩な活動で知られる向田邦子。旺盛な好奇心で軽やかに生きたその51年の軌跡をたどるイベント「いま、風が吹いている」が、没後40年となる2021年にスパイラルで開催される。会期は2021年1月14日～24日。

　向田は1929年生まれ。父親の転勤にともなって日本全国を転々としながら育ち、雑誌の編集者を経て、ラジオの構成作家やテレビ脚本家として活躍。代表作に『寺内貫太郎一家』『阿修羅のごとく』などがあり、70～80年代のヒットメーカーとなる。

　その後、46歳での乳がん発症をきっかけにエッセイを手がけるようになり、78年に『父の詫び状』を出版。80年、『小説新潮』に連載中の「思い出トランプ」より『花の名前』『かわうそ』『犬小屋』で第83回直木賞を受賞する。翌81年8月、飛行機事故によって51歳で急逝。向田が残した作品の数々や、「自分らしく気持ちよく暮らしたい」というライフスタイルは世代を超えた共感を生み、憧れの対象であり続けている。

　今回のイベントは、向田が最後の10年を過ごした街である青山を舞台に、末妹・向田和子監修のもと、合津直枝（テレビマンユニオン）を総合プロデューサーに迎えて開催されるもの。展覧会やドキュメンタリーの上映、舞台、コンサートなどが行われる。

　展覧会の会場構成・アートディレクションは、デザイン事務所KIGIの植原亮輔と渡邉良重が担当。向田の愛用品や生原稿、写真など約300点の資料で、その才能や魅力が開花していった足跡を追う。また、新たに製作されたドキュメンタリー映画『向田邦子を追いかけて』は、生涯で10数ヶ所の地に移り住み、晩年は旅に熱中した「故郷喪失者」向田の、「景色・人・味」から心のうちを探るというものだ。

　また会期中には、舞台『弔い上げ～寺内貫太郎33回忌法要』、『向田邦子・風のコンサート』、トークショーなども開催。プログラムの詳細は、ウェブサイトから確認してほしい。