「VOCA展」から名古屋の堀川沿いを舞台にしたアートイベントまで。今週末に見たい展覧会ベスト3
今週スタートした展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。なお緊急事態宣言のため、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。
新進気鋭の平面作家を一堂に紹介。「VOCA展2021」(上野の森美術館)
現代美術の平面の領域で将来性のある若手作家の支援を目的として、1994年より毎年開催される「VOCA展」。全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40歳以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、全国各地から未知の優れた才能を紹介してきた。
今年で28回目の開催となる「VOCA展2021」では、秋田県在住(群馬県出身)のアーティスト・尾花賢一の《上野山コスモロジー》がグランプリである「VOCA賞」を受賞。「VOCA奨励賞」には鄭梨愛と水戸部七絵が、「佳作賞」には岡本秀と弓指寛治が選出された。また岡本秀は、大原美術館が同館独自の選考を経て決定する「大原美術館賞」も受賞している。
これらの受賞作家を含め、今年の出品作家計30組の作品を一堂に紹介する展覧会「VOCA展2021」が上野の森美術館で開催。これからを期待される新進気鋭の作家の作品を堪能してほしい。
会期:2021年3月12日〜30日
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 800円 / 大学生 500円 / 高校生以下無料
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催内容が変更になる場合がある。
コレクターによる新たなコマーシャルギャラリー。「biscuit gallery Opening Exhibition」(biscuit gallery)
東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムのある通りのビルに、新たなコマーシャルギャラリー「biscuit gallery(ビスケット・ギャラリー)」がオープンした。
1〜3階合わせて100平米以上のホワイトキューブを持ち、平面作品からインスタレーションまで幅広く対応できる新しいギャラリー。代表を務めるコバヤシマヒロは現代美術コレクターでもあり、また美術情報のウェブサイト「Bur@rt」を主催して若手の現代美術作家の情報を発信してきた。
オープニングを飾る展覧会では、五十嵐大地、岡田佑里奈、清川漠、トモトシ、中澤ふくみ、森井沙季の6名の若手作家を展示。また、4月1日からはオープニング展の第2弾がスタート。こちらでは石井海音、木村翔馬、服部芽生、御村紗也、山田康平、山本捷平の作品が展示される。
会期:2021年3月12日〜3月28日
会場:biscuit gallery
住所:東京都渋谷区松濤1−28−8 biscuitビル
開館時間:13:00〜19:00(土日祝は12:00〜18:00)
休館日:月〜水
料金:無料
歴史的な堀川沿いで現代美術を楽しむ。「ストリーミング・ヘリテージ」(名古屋城エリア、納屋橋エリア、熱田・宮の渡しエリア)
名古屋城から納屋橋を経て、宮の渡し、そして名古屋港までの堀川沿いを舞台に、新たな現代美術とメディア・アートのイベント「ストリーミング・ヘリテージ|台地と海のあいだ」が開催される。
本企画では、国内のアーティストによるインスタレーション作品の展示のほか、五十嵐太郎や市原えつこら有識者を招いたシンポジウム、最先端技術を用いたパフォーマンスなども展開。歴史と現在をつなぎ、名古屋独自の文化芸術の魅力を世界に向けて発信することを目指している。
参加アーティストは、映像や立体など多様なメディアを用いながら非現実的な光景を描くさわひらきをはじめ、デジタルメディアの誤用による違和感をデフォルメし、そのシミュレーションから物事を複眼的に見ることができる作品を生み出す井藤雄一、メディア考古学的な視点を通して、場所や物質に宿る時間を即物的に呈示する映像作家の平川祐樹ら7組。
名古屋が有する様々な観光・文化資源をひと続きに結んでいる歴史的な堀川で、現代美術とメディア・アートを楽しみたい。
会期:2021年3月12〜28日(金土日のみ開催)
会場:名古屋城エリア、納屋橋エリア、熱田・宮の渡しエリア