ケリス・ウィン・エヴァンス展がイサム・ノグチ作の石庭「天国」で開催へ。光の柱作品や大型ネオン作品が発表
東京・赤坂の草月会館1階にあるイサム・ノグチ作の石庭「天国」で、イギリス人の現代美術作家ケリス・ウィン・エヴァンスの個展が開催される。会期は4月1日〜29日。
イギリス人の現代美術作家ケリス・ウィン・エヴァンスの個展が、4月1日〜29日の会期で東京・赤坂の草月会館1階の石庭「天国」で開催される。
2018年に同会場で開催された個展の第2章と位置づけられる本展。床面から天井まで達する光の柱作品に加え、クリスタルガラス製のフルートが自動演奏される立体作品と、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の日本語訳の一部をもとにした大型ネオン作品が展示される予定だ。
イサム・ノグチ作の石庭「天国」に配される光の柱作品はゆっくりと明滅を繰り返し、石庭のタンブル(音色)を浮かび上がらせるテンポを生み出す。また、能舞台に倣い石庭の適所には松の木も据えられ、その有機体としての存在から時間の「質感」を喚起し、石庭をある種の舞台へと転換する。
37本のクリスタルガラス製のフルートとコンプレッサーで構成される自動演奏作品《Composition for 37 flutes》(2018)は、アルゴリズムに基づき自動でフルートに空気を送るもので、まるで静かに呼吸をするように和音、そして不協和音を奏でる。能において囃子方(はやしかた)の笛の音は舞台に希有の緊張感をもたらし、能の霊的・神秘的な側面を象徴しながら、2018年にヘップワース彫刻賞を受賞した同作は、石庭「天国」における無形の舞台装置としても機能する。
石庭の最上段には大型ネオン作品《F=O=U=N=T=A=I=N》(2020)が配置される。吉川一義によるマルセル・プルースト『失われた時を求めて』第4篇「ソドムとゴモラ」(1921/22)の日本語訳をもとにしたこの作品は、吉川の翻訳をエヴァンスがさらにネオンという発光物質に翻訳するという。
共感覚経験のように視覚、空間感覚、聴覚の垣根を越えて知覚されるエヴァンスの作品。イサム・ノグチ作の会場でぜひ堪能してほしい。