「インターフェイス」をキーワードに見る、戦後写真の巨人・東松照明
1960年代初頭から活躍した写真家・東松照明の展覧会が、赤坂のフジフイルム スクエアで開催。これまでまとまったかたちで発表されることのなかった2つのシリーズ「プラスチックス」「インターフェイス」が公開される。
東松照明(1930〜2012年)は、「戦後写真の巨人」と称される写真家。沖縄米軍基地への取材や、ライフワークとして継続した長崎への取材をもとに多くの作品を発表した。また、1986年に受けた手術をきっかけに生命力に関心を寄せ、新たな視点と世界観の作品を制作した。61年に『hiroshima-nagasaki document 1961』で第5回日本写真批評家協会作家賞を受賞、95年には紫綬褒章を受章している。
本展は、会期を第1部、第2部に分け、東松の2つの作品シリーズを展示する。第1部で展示される「プラスチックス」(1988-89)は、東松が手術後に東京から移住した千葉県の九十九里浜で撮影されたもので、海岸に漂着したプラスチックの残骸が構成的にとらえられている。第2部でとりあげる「インターフェイス」(1968-96)では、潮の満ち引きにより、海と陸が交じり合い独自の生態系が存在する「潮間帯」と呼ばれる環境を俯瞰で写している。
展覧会タイトルにもなっている「インターフェイス」は、2つの領域が接している境界あるいはその界面を意味する。本展では、自然と文明、過去と未来など様々な「インターフェイス」を示唆する2つのシリーズを通し、写真家・東松照明の姿を明らかにする。