モノクロの世界でアイデンティティのありかを探る。潘逸舟の個展「私たちの条件」
映像やインスタレーションを中心に、国内外で作品を発表している潘逸舟が、個展「私たちの条件」を開催している。TERRADA Art Complex(東京・品川)内のギャラリー・URANOで、8月5日まで。
潘逸舟は1987年上海生まれ。9歳の時に青森に移住し、2012年に東京藝術大学先端芸術表現科大学院を修了、現在は東京を拠点に活動する。近年のおもなグループ展・個展は、「アジアン・アナーキー・アライアンス」 (開渡美術館・台湾、2014)、「Whose game is it?」 (ロイヤルガレッジオブアーツ・ロンドン、2015)、 「The Drifting Thinker」(MoCAパビリオン・上海、2017)など。
潘は、自らの身体や日用品を素材として、映像、インスタレーション、写真、絵画など多様な形態の作品を発表している。時にユーモラスでありながらも真摯な表現で、国家や社会といった人類が作り出した巨大なシステムと、それを構築する一部分である個人の身体を浮かび上がらせ、両者の間で揺れ動く個人のアイデンティティのありかを問いかける。
本展では、約2×6メートルの巨大スクリーンに映し出される、雪原の誰のものともわからない足跡をたどる映像作品を中心に、教科書の余白の部分をちぎり取ってキャンバスに貼りつけた新作の平面作品「余白」、ボストン美術館を始めアメリカ国内を巡回した展示「In the Wake - Japanese Photographers Respond to 3/11」への出品作品「Life Scan Fukushima」など約10点を展示する。