狩野派はいかにして画壇の覇者となったのか? 2代目・狩野元信の初の大規模回顧展が開催
狩野派の2代目としてその礎を築いた絵師・狩野元信の回顧展が、東京・六本木のサントリー美術館で開催される。会期は9月16日〜11月5日。
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室町時代から幕府の御用絵師となり、日本絵画史上最大の画派として隆盛した狩野派。その発展の礎を築いた2代目・狩野元信(1477?〜1559)を単独で扱う初の本格的な回顧展が開催される。
元信の功績としてまず挙げられるのが、「画体」と呼ばれる様式の確立だ。従来の漢画系の絵師たちは、中国絵画の名家を手本とする「筆様(ひつよう)」を規範として制作を行っていた。元信は、曖昧なものとなっていたこの筆様を再構成し、「真体」「行体」「草体」という3つの「画体」を創出。血族や門弟たちがこれを学ぶことで、組織的な集団制作が可能となった。
また元信は、父・正信の時代には扱われなかった「やまと絵」の分野にも乗り出した。金泥や濃彩といった伝統技法や、風俗画や歌仙絵などのやまと絵特有の画題にも積極的に取り組み、「和漢を兼ねる」ことは狩野派の宣伝文句となっていった。
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このようにして素早く多様な注文に対応できるようになったことで、元信の工房は多くのパトロンを獲得。狩野派は組織として大きく飛躍し、幕末までの約400年間地位を保ち続けた。
本展では、《四季花鳥図》《瀟湘八景図》などの代表作を中心に、元信の幅広い画業を紹介する。また、父・正信や中国の絵師・馬遠、夏珪など、元信が学んだ先人たちの作品も合わせて展示。「天下を治めた絵師」・狩野元信と、狩野派の繁栄の秘密を探る。
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