2017.10.25

レアンドロ・エルリッヒの大規模個展が11月に開幕! 参加型作品の新バージョンも登場

金沢21世紀美術館の《スイミング・プール》などの作品でも知られるレアンドロ・エルリッヒの東京で初となる大規模個展「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」が、六本木の森美術館で開催される。会期は11月18日〜2018年4月1日。

レアンドロ・エルリッヒ 建物 2004 リノリウムにデジタルプリント、照明、鉄、木材、鏡 800×600×1200cm 展示風景:104-パリ、2011年 ※参考図版
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 レアンドロ・エルリッヒ(1973年、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ)は、視覚的な錯覚や音の効果を用い、鑑賞者の常識に揺さぶりをかけるような体験をもたらす作品を制作。日本では、金沢21世紀美術館に恒久設置された《スイミング・プール》(2004)の作者としても知られている。

 東京で初の大規模個展となる本展では、エルリッヒの25年にわたる活動の全容を紹介。8割が日本初公開となる全約40点が展示され、その規模は世界でも最大級だ。

レアンドロ・エルリッヒ 反射する港 2014 繊維ガラス、金属フレーム、駆動装置、木材、アクリル板 サイズ可変
展示風景:「ハンジン・シッピング・ザ・ボックス・プロジェクト2014」韓国国立現代美術館、ソウル、2014年 Courtesy: National Museum of Modern and Contemporary Art, Korea; Art Front Gallery; Galleria Continua

 エルリッヒの代表的な参加型インスタレーションのひとつ「建物」シリーズは、本展のための新バージョンで登場。鏡の効果によって生まれる、人々が壁にぶら下がっているような不思議な光景を写真に撮って楽しむこともできる。

 また、少子化や地方の過疎化といった日本が抱える問題を背景に、廃校となった学校の教室を舞台として制作された新作《教室》(2017)も発表される。

レアンドロ・エルリッヒ 精神分析医の診察室 2005 ソファ、本棚、机、椅子、カーペット、ガラス、照明のある同じサイズの2部屋 サイズ可変
展示風景:プロア財団、ブエノスアイレス、2013年 Photo by Clara Cullen ※参考図版

 そのほか、水のない場所で水面に反射する風景を再現した《反射する港》(2014)や、試着室の鏡が迷路のように連なる体験型インスタレーション《試着室》(2008)などが日本で初めて公開される。

レアンドロ・エルリッヒ 試着室 2008 パネル、フレーム、鏡、スツール、カーテン、照明 サイズ可変
展示風景:イグアテミ・ショッピングモール、サンパウロ、2016年 Photo by Luciana Prezia Courtesy: Iguatemi Shopping Mall

 本展に向けたメッセージのなかで、エルリッヒは「私の作品を通して、みなさん一人一人が『日常においてわたしたちがいかに無意識のうちに惰性や習慣で行動しているか』、そして『いかに常識や既成概念にとらわれ凝り固まった見方をしているか』ということに気付き、現実を問い直すきっかけとなれば嬉しい」と語っている。「見る」という行為の曖昧さを浮かび上がらせるエルリッヒの作品を通し、「見ることのリアル」に出会う感覚を会場で体感したい。