加藤翼が「40,000kmのなかの数メートル」で見せるリアルな人と人の距離感
東京・清澄白河の無人島プロダクションで、加藤翼展「40,000kmのなかの数メートル」が開催。前期「メキシコシティ⇄ジャカルタ」(11月25日~12月23日)と後期「ベトナム⇅アメリカ」(2018年1月13日~2月24日)の2部構成で展示が入れ替わる。
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加藤翼は1984年埼玉県生まれ。複数人による共同実践のプロジェクトから派生する構造物や映像、写真を発表してきた。東京藝術大学大学院で修士号を取得後、ワシントン大学客員研究員を経て、現在は国内外を問わず、郊外や都市空間で活動している。また、2018年には森美術館で開催の「カタストロフと美術のちから展」(10月6日〜2019年1月20日)にも参加予定となるなど、精力的な活動を見せるアーティストのひとりだ。
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本展は、2015年から約2年の文化庁新進芸術家海外研修制度からの帰国後初の個展。タイトルの「40,000kmのなかの数メートル」は、地球の赤道上を1周する距離約4万キロメートルに対し、作品内での人々の移動距離を比較したもの。展覧会では、この2年間に加藤がさまざまな地に赴き、移動と距離をテーマに現地の人々と共同で行ったプロジェクトがすべて公開される。
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現在、共同体の在り方が揺さぶられていると考える加藤は、「都市」「路上」「国境」「移動」をキーワードに展覧会を構成。都市名を展覧会タイトルとした前期の「メキシコシティ⇄ジャカルタ」では、都市の路上で制作した映像作品を中心に展示し、後期の「ベトナム⇅アメリカ」では、国というフレームをより強く意識させるような作品を展開する。
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映像の中で、それぞれの土地の背景を垣間見せることによって、「今いる場所」から「彼の地」までの距離に対する、鑑賞者の想像力をうながす。