グラフィックデザイナー・野口久光が描いた、「一枚の絵画」としての映画ポスター
新潟市美術館で展覧会「野口久光 シネマ・グラフィックス」が開催される。手描きによる映画ポスターをはじめ、多岐にわたる活動から400点に及ぶ資料を展示。さらに野口の音楽評論家としての側面から、新潟とジャズの関係も紹介する。会期は2018年1月10日〜3月25日。
野口久光(1909〜94)は映画配給会社・東和商事(のちの東宝東和)に所属し、およそ30年の間に1000点を超えるポスターを描いた。野口の映画ポスターは、タイトルや俳優の名前まで全て手描きで、作品の雰囲気を豊かに表現した「一枚の絵画」としての魅力を持つ。そのポスターは多くの映画監督を魅了し、『大人は判ってくれない』(1959)のフランソワ・トリュフォーは野口が描いたポスターに感激し、続編の撮影時には小道具として取り入れたほど。
また、野口は音楽・舞台評論家としても知られ、デューク・エリントンなどジャズの巨匠たちとも親交を持っていた。日米の音楽交流の架け橋を担ったとして、1983年にはニューオーリンズの名誉市民ともなっている。
本展では、野口の映画ポスターやその原画、映画スターやジャズプレーヤーのポートレイト、書籍やレコードのジャケットなど、約400点の資料を展示。さらに当時の貴重な映像資料も公開する。
また、エリントンが「新潟市国際親善名誉市民」となった経緯に関わる写真や資料も展示し、エリントンと新潟の関係を紹介する。